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[彼が家に帰っている間に、既に風雨に荒らされた庭などは整えられていたようだった。適当な用事を見つけられないままぐるりと館の中を見終えると、広間へと足を向ける。
館の主は”来客が多い”と言っていた。
元々、好奇心はそれなりにある方だ。自分以外に誰が来ているのか、見てみたかった。]
…ここかな?
[控えめに扉を開けて、覗き込む。人影は――ないようだった。]
[来客は随分と多いようだった。
使用人の使っているその隣の部屋が彼女には宛がわれた。
一眠りした後に訪れた館主の話ではもう暫くのんびりしていて良いとのことであったが、仮にも雇われの身。主人亡き後、身寄りのないところを引き取ってくださったのだから、何時までも甘えるわけにも行くまい。
それに何より]
お1人では忙しいでしょうものね。
[掃除用具を借り、軽く階段付近の掃除から始めてみるのだった]
―温室―
[凍りつくような冬の空気から隔離された場所。
そこで、咲き誇る花々を見ている。
小ぶりの葡萄の木、木苺、石榴……
食べ物のなる木ばかり見ているような気もするが。]
[どうしようか、しばし悩む。
広くてきれいな広間で一人ぽつんと待っているのは、どう考えても退屈だった。]
…探してみようかな。
[ぽつり、呟いて。踵を返す。行く宛てはないけれど。]
−温室−
[義兄の趣味で、建てられたその硝子張りの建物には、夜も温かな陽光を模した灯りが点り、そこだけが一年中春のような空間になっている。
その中に佇む、黒い帽子の牧師の姿を認めると、軽く会釈をする。]
この部屋がお気に入りのようですね、牧師様。
……ふむ、葡萄も木苺も石榴もたわわに実っていますね。
今度はアーヴァインさんに断ってから摘み取る事にしましょうか。
[満足げに頷いてから、今度は薔薇の方へ歩を進め。]
ええ、とても。
いつ見ても花々が咲き誇っていますし……食べられるものも多いですから。ふふふ。
[視線は薔薇に向けられたまま。両手は後ろで組んだ状態。
何故か、左手だけ白い手袋をしている。]
[2階客室に通じる階段は掃除中のようだった。豊かな緑のお下げ髪の少女の邪魔にならないよう、外へと足を向ける。
既に暗くなった庭に出れば、仄かな明かりのついた硝子張りの建物が見えた。]
…あれ、なんだろ?
[温室と知らぬまま、灯に惹かれるようにとてとてと歩く。
やがて近くに辿り着けば、ガラスを通して黒い服の人物と、長い白い髪の人物の姿が透けて見えた。]
→温室(外)
ふうっ……。
[客室の窓辺で、ため息一つ]
まいったなあ、もぉ……また、「あの話」してるのかあ……。
[昼間、届けられたという簡素な手紙を見やって。
また、ため息]
ほんとに、もう……。
[呆れや……それ以外にも、色々と複雑そうな感情を込めた呟きをもらし。
ゆっくりと部屋の外へ]
…姉も、ここが好きでした。
一年中春のような場所ですからね。
[懐かしそうな目で、温室の中を見回す。]
でもまぁ、つまみ食いはほどほどに。
[くすりと冗談めかして言いつつ、牧師の片手の手袋に目をとめる。]
おや、もう片方は何処へ?
[黒い服の人物は、直にわかった。誰かと言うことではなく、職業として。そしてもう1人の人物には、首を傾げる。]
『牧師様と…あれは…?』
[何処かで見たような…そんな風に思い、ふと気付く。
ロビーにかけられていた、肖像画の人だと――]
―書斎―
[ 腕を組んで枕代わりにして突っ伏していた状態から顔を上げる。何時の間に眠り込んでいたのか。恐らくは其れなりに長い時間だったのだろう、頭を乗せていた腕は若干の痺れを訴えていた。]
……しまった。
[ 呟きを零しながら上体を起こせば少々無理な体勢で寝ていた所為で躰が強張っているのが判り、首筋に手を当てて傾けると小さく音が鳴る。まだ重い目蓋を持ち上げてニ、三度瞬き、視線を傍に広げられていた本へと移す。眠りに落ちる間際の事は覚えていないが、押し潰していなかったのは僥倖か。栞を挟んでいなかったが為に、読んでいた箇所は不明になっているが、其れは然したる問題ではない。]
/中/
ここらで独り言など残してみるのです(何
女性率低すぎて(むしろ皆無?)入っていいものかちょっと迷ってしまいました。
そして緑含有量が高い。
[客室を出て、のんびりと階段に向かえば、掃除をしている見慣れぬ少女]
えっとー……通っても、大丈夫、かな?
[仕事の邪魔をするようで申し訳なくて。
何となく、先に声をかけた]
……ああ、いや。
これは片方だけでいいのですよ。
[コーネリアスの方へ向き直る]
まあ、つまみ食いの件は内密に。
……それにしても、残っていた苺は何処に行ってしまったのでしょう。
ジャムや苺ワインにしてしまう手もあったのですが。
他の苺はまだ熟していませんから、次に食べられるのはいつになることやら。残念です。
[目線だけは苺の苗に。]
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