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[ユーディットの前を歩くように歩を進めて。ホールの扉を開ける]
……んー、ちょっと俺遅れた?
[中に揃う人たちの顔を見れば、僅かに目を瞬きつつ。
僅か首を傾げふるりと飛ばすように頭を振れば、ひらりと手を振って。
けらりと笑いながらも、いつもの席へ向かい。]
……俺、いつの間に此処来てるんだ?
[瞬きを終えた瞳は、いつの間にか蒼へと光彩を戻していて。
ポツリと呟いた言葉は誰にも届かずに。]
え……。
[ザムエルの、緊張している、という指摘に、一つ、瞬く]
……そう……ですか?
俺は、いつもと……変わらない、つもりですけど……。
[言いつつ、半ば無意識のように右手を握って、開いて。
それでも、ザムエルが笑う様子を見れば、どことなく安堵したように小さく息をもらし]
ま、まあ……三年越しの念願が叶うわけですし。
そういう事も、あるのかも、知れませんね。
……オルゴールが逃げたら、それはそれで大事だと思いますけど。
[最後の言葉を口にする時には、笑みを浮かべる余裕も多少、戻っていた]
[アーベルの前を通り過ぎようとした際、不意にかけられた言葉
それは先ほどまで聞いていた声とは異なる幾分低い声]
……えっ?
[振り向いた時視界に入ったアーベルの瞳は細まり僅かに紅く染まっている
動揺しつつも、表向きの平静を保とうとしたのは召使いとしての職務意識か、それとも本能による警告か]
こ、これは。私の父が、母が好きだった曲だった、と
それと、母方の祖母もその母も好きだった、とも、言ってまし、た
/中/
ちょっと時間軸逆行しつつ、平行進行
[入ってきたイレーネに、いつもよりおどおどしていないな。と思いつつ。
よぅ。と手を軽く振ったところで、先程の視線がばれたのだろう。
咎める雰囲気ではなく疑問符をあげているエーリッヒに]
いや、オルゴールってどんなものなのかね。ってブリジットとしゃべっていたのさ。
エーリッヒは詳しいのかなと思ってな。
[俺はわかんなくてな。と言いながら、視線を向けた意味を特に隠すことなく気楽に答えた]
――失礼致します。
皆様、食事会の準備が整いました。
大変長らくお待たせしてしまい、申し訳ございません。
[普段と変わらぬ黒を纏った執事がホールに姿を現し、声を紡ぐ。
丁度、客人が中に入るところであったから、少し間を置いてから]
ぇ?
[ユリアンの視線を見れば…ザムエルとエーリッヒが居て…]
えっと…オルゴールについて…なにか、知ってた?
[エーリッヒに軽く首を傾げるが、すぐに興味は移って]
…でも、まぁ…後、もう少しで、見れるし…
ふふっ、楽しみだなぁ…
[小さく笑うと…声が聞こえたドアの方を向く…が]
…イレーネ…?
こっちに来ればいいのに…
ん、ああ、そういう事か……。
[ユリアンの言葉に、納得したように頷く]
一応、書物や口伝で、大体の事は知ってるが……。
[言いかけたところに、オトフリートの声が聞こえれば、その表情には悪戯っぽい笑み]
……御大の楽しみをとっちゃ、悪いからね。
[くすり、と笑い。
ブリジットの言葉には、そういう事、と頷いた]
大丈夫だ。
落ち着いてる。
……抑えこめてる。
だから。
大丈夫だ。
[表向き明るく振る舞いつつ。
その実、内心ではこんな自己暗示が繰り返されて]
[金髪の女性の微笑みに、ほんの少し安堵したような表情を見せた。職人の青年には軽く片手を上げるような仕草を返す。]
[新しく入ってきた青い髪の青年には小さく会釈をした。]
・・・オルゴール。
[皆の話題に上るそれを、自らの声にも乗せた。]
[ユーディットとそれに続いてアーベルがホールに入ってくるのを目にする。
続々と集まってくるが、まあそれは当然だろう
遅れたか?という問いに答えようかと思ったとき。
オトフリートの常の畏まった声が聞こえる。]
間に合ったってことじゃね。
[とあっさりいいつつ。オトフリートの登場を合図にそろそろなのかな。とエーリッヒの言葉には軽く頷いて、邸の主の登場を待つ]
[やがて現れた邸の主は、深礼する執事を一瞥して中へと入り、
その場に集った客人達に柔和な笑みを浮かべて挨拶を。
彼は招待客の一人一人に会釈をして、時には握手を願うだろうか。
主が席に着くと用意されていた食事が運ばれ始め、
客人に挨拶をする姿を見守っていた執事もまたそれを手伝う。
オードブルから始まり、デザートまで。いつもより一段と豪勢に。
前菜にはあじのマリネにエスカルゴのパイ包み焼き、次いでソーセージ三種の盛り合わせ、じゃがいものスープ黒い森風、更にはアイスバインのザワークラウト添え、サワラ鰆のソテーの春野菜添え、デザートには白の絨毯に鮮やかな赤のチェリーを乗せたローテグリュッツェ――
そして望んだ客に出すであろうアルコールも、秘蔵のものを。
名を挙げるだけでも眩暈がしそうな程、とかく、至れり尽くせりだった。
けれども少し気の逸いた主は、途中で運ぶのを止めさせ、全てを食べ終える前に客人を舞台へと誘うかもしれない]
―――そうか。
この時代に、その唄を歌う者に会えるとは終ぞ考えもしなかったが。
[侍女の言葉に、くつ、と青年――の姿を借りた何かが、喉の奥を鳴らす。
薄ら染まっていた瞳は、既に紅の色を深くして。]
此の場所で、歌姫の血縁に出会うとは―――私は、余程運が良いらしい。
[低く、呟かれた声は何処か楽しげに。紅玉の光を相手へ向け。]
/中/
おう、りょうかいー。
んじゃ、ホールに着くまでの回想って形かな?
…混乱しませんよーに(待て)
[エーリッヒはやはり、何か知っていたらしい…
ふんふん、と相づちを打ちながら聞いていたが…]
…楽しみを…とっちゃ、悪い…?
[目を瞬かせるが、オトフリートの声が聞こえると背筋を正した]
[執事の声に頷き周りを見回し、オルゴールについて話していた様子の二人と、それに答えるエーリッヒを交互に見遣って]
三年越しともなれば、色々調べたのでしょうな。
まぁ、それを話すのも奴の楽しみであろうし、今はまだ、の。
[楽しみを、と言うのには頷いて]
その為に呼んだのでしょうしの。
[執事の声に其方を向いたところで、少女の声が聞こえたか。こっそりと少女の方へ向かう。]
こんばんは。
・・・楽しみ、だね。
[小さく囁くように言って、改めて扉のほうを向いた。]
もうすぐ、オルゴォルのお披露目?
[そっと呟くように声を投げて。
彼女の目は、楽しみに思う、そんな色が。
やってくるギュンターに、席を立って]
呼んでいただいて嬉しいわ、ギュンターさん。
ふふ、お礼を言うのはこちらのほう。
気に入っていただいて、ありがとうございます。
[絵の礼も共に言われ、ギュンターの手を取って、親しみを込めてその体を抱く。]
また是非、呼んでくださいな。
それでも、今日のオルゴォルが、とても楽しみだわ。
[そして彼の姿を、彼女は見送る。]
[ホールに招待客が全員揃い、ご主人様も自室からお降りになられて、食事会が始まる
次々と正式名称が舌を噛みそうな料理を招待客に出すために、厨房も戦場、その料理を運ぶ召使いたちも東奔西走
しかし、それを招待客に悟られてはいけない。それがメイドの美学]
…間に合ったっぽいな。
[オトフリートの声に気付けば、
ユリアンのあっさりと返される言葉にけらりと笑みを返す。
邸主が席に着いた直後から、続々と運ばれる食事に
僅かに目を瞬かせるも、流石に数度目ともなると何処か慣れたもので。
勧められるアルコールに笑顔で断りを入れつつ]
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