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エェン…昨夜は飲みすぎましたものネェ。
気をつけますわァ。
[女は紅茶の香りに瞳を和ませつつ、素直な謝罪を口にする。
しかし執事の含みに気付けば、矜持が勝るのか瞳は冷える]
…サァァ?
あえて言えばァ、心労かしらネェ?
[慣れぬ土地での生活のせいとでも言うように、顎を上げて返す]
貴重も貴重。
小説読むよりスッゴイ疲れるし、所々意味がわかんないし。
[それは唯の学力不足だとも思えるけども。
エーリッヒの口からさらりと告げられる言葉に、むぅと唸りつつ]
んじゃ、後でお邪魔するー。
本当、事態を把握するだけで手一杯じゃ話になんないしさ。
[続く言葉に小さく頷けば、よろしく、とひらり手を振って。
執事の告げる、意味深な言葉に僅か首を傾げ。]
―――別の、よういん?
[つられる様に女性へと視線を向けるも、心労だと答えるばかりで。
しかし、何か違和感を感じれば僅か眉を顰める]
[イレーネを見遣る、その視界の端にて、並ばれる
……食事?
俺さっき軽食食べたばっかじゃん。とか一瞬冷や汗をかく。
微妙に平和な思考をもてるだけの余裕はあるらしい。
といっても...のこと、一人前は普通に食べれるだろうけど]
……ああ、なるほど。そういうことか
[ヘルガの様子に“限界”の意味を悟り、うっすらと笑みを浮かべる]
ということは、赤い花の咲くところに歌姫が
ああ、待っていてください歌姫。もうすぐ、ほの暗い檻の中から救い出して差し上げます
[そう心の中で呟き、陶酔]
[艶女の様子に失礼致しましたと頭を下げるも、
執事の浮かべる微笑の温度も、彼女の瞳同様普段より低い]
心労、というと。
予定外の事態が起こりでも、したのでしょうか。
[意味するところはわかっているだろうに、
敢えて話を違え、揶揄するような物言い]
扱い切れない存在だったのですかね。
[続きは小声。それが何を指すかは、明白か]
……役者が揃いましたかの。
[ホールの片隅、ソファに座ったまま。
それは誰にも見える事はなく、声も誰にも聞こえなかったが]
さて、どのようになるやら。
既に口出しの叶わぬ身、せめて此処で見させて頂きましょうかの。
[集まる面々と、気勢を張る女…【魔】とを見比べて]
……やれ、ワシも茶が欲しい所だの。
[場にそぐわぬ呟きを一つ零し、そのまま様子を伺い続けて]
[…フォークで野菜を退けつつ、少女はちら、と辺りを見回す。
なんだか、空気が重い。
…昨日とは違う意味で…]
…
[むぅ、小さく唸ると、フォークを口へと運ぶ。
皆の話すことは聞いているのだが、イマイチ意図は捕らえられては居ないようで]
専門書いきなり読めば、暗号文書に見えるもんだって。
俺だって、最初からその手の読んでた訳じゃないぜ?
……ま、焦る気持ちはわかるよ。
正直、今日の事で……俺も、焦りは感じてる。
早めに何とかしないと、最悪の事態を招きかねん……。
[その『最悪の事態』を止める術は……恐らく、あるのだろうが。
問題は、その『術』がどう動くか、それが全くわからない、という事。
……ならば、『最悪』に至る前に止めたいと思うのが自然だろう。
そんな事を考えつつも、意識の一部は、執事と女性のやり取りに向けられて]
心労…なー
[実はヘルガさん精神的にまいっていたのかね。まあこんな状況だし。寝不足だったのかとか。
そんな風に、言われるままに考えていたのだが、でも腕の中にいたときに感じた、脆さというものがどうにも違うような。と言葉で説明できないものを感じながら。
オトフリートとのやり取りが何か違うことを指しているようで、ん〜?と首をかしげる]
[どうやら何事か知っている様子の執事の問いに答える前に、心を落ち着けようとミルクティーに手を伸ばし、唇を寄せる。
女にとっては僅かに熱いそれを一口飲んで、ほぅと息を吐いた]
…エェン、そゥ…何もかもがァ想定外ですわよォ…?
[そもそも、この邸宅に来たのもほんの気紛れ。
それほど期待せずに訪れたのだから嘘ではない。
しかし、続く言葉に――揶揄するような物言いはまだしも、扱いきれないとまで言われれば頬に朱が差す]
ッ! 何ですってェ!
[手にしたカップの中身を、執事にかけようと手首を閃かす]
『それにしても忙しい』
[ヘルガとオトフリートのやり取りも気にかかるが、...にとってはイレーネのことも気にかかる。
しかし、なんと聞いてよいものやら。
魔のものなどという言葉が幾度か出ているが、もしそうだとするならば…
それだけは信じたくはない
そして...もまた重い空気に耐えかねた部位もあるのだろう。
定例通り野菜を退けているブリジットを見れば、
なんというか微笑ましいのか。少し肩の力も抜けた気もする]
……申し訳御座いません。
[誠意の感じられない、謝罪の言葉]
こういった遣り方は私も好みではないのですが、
なにぶん、緊急事態ですが故に。
[トレイを下ろせば、現れる微笑みは艶を含む。
僅かに服にかかりはするも、耐え切れぬ程ではない]
このままでは、御自身までもが呑まれるのではないですか?
[もぐもぐ。
みんなも疲れているのかなぁ、と、空気が重い理由を違うように考えてみたり…
きっと、招待された人は、どうやって時間を過ごそうか、と言うので悩んでいるのだ。
そんな風に良いように考えてみたりする。
しかし]
…!
[ヘルガの荒げた声。
何かが弾けたような水音。
…一瞬、何が起こったのか分からなかった]
…?
[ヘルガの様子もおかしければ、オトフリートのも様子も…形容しがたいが、何かおかしい。
呆然と二人を見ている]
…その暗号文書を基礎まで読みきった俺って本当凄い。
[良く頑張った。と自画自賛しつつも、
続く「最悪の事態」、の言葉に小さく溜息を吐いて]
…ん。…なんつーか、何も知らないのってもどかしくてさ。
どーすれば良いのかわっかんねーし。
[僅かに、瞼を伏せる。自分の理解の範疇を超えているのだ。
オルゴールの事も、魂を失った人たちの事も、常人ならざる存在と言うものも。
―――最近に至っては、 自らの記憶すら。
書籍を抱きかかえた腕に僅か、力が籠もって。]
[と、女性が突如荒げる声にはっと顔を上げる。
執事とのやり取りに、訳がわからないという風に顔を見比べ]
[自分を見る険しい視線に気付いたのか、ちらとだけ青年に目を向ける。]
[迷うような素振りを見せ、何を思ったのか視線を逸らして小さく首を横に振った。]
・・・・・っ
[逸らした視線の先、丁度激昂する赤の女性が映り、驚いたようで大きく身を震わせた。]
……なんだ?
[突然の大声と、飛び散る紅茶。
明らかに尋常ではない様子に、きょとり、と瞬く。
次いで、執事が女性に投げた言葉。
それが意味する事は、容易に察する事ができて。
翠に険しさが宿る]
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