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それは、気をつけねば成るまいな。
[言の葉の意味を理解したのか、執事の紡ぐ言葉に、くつりと笑みを深める。
そうして、邸から聞えた物音に、ゆるりと紅の視線を向けて。]
―――…来たか。
[まるで、判っていたかの様な。愉しげな響き]
それは、そう・・・だけど。
[何処かいつも通りの言葉に虚を突かれたか、若干口籠った。確かに其方に行けたところで如何にもならないだろう。]
・・・でも、
[続く言葉は、叫び声と割れる硝子の音に遮られた。]
[窓から飛び出していったユーディットと、歌姫について、なにか聞いていても見当のつかないことをいってからそれを追うエーリッヒ。
とりあえずこの場は助かった。と認識してもよいのだろうが…]
…このままじゃ、はっきりと言って後味が悪いよなー。ぁぁー……
[どこか疲れたようにぼやき]
イレーネ、俺は一応追っかけてみようかとか思うが…どうする?
[と、問いかける]
─庭園─
[庭園を駆けていたが、その進行方向に人影が見える]
!? オトフリートさんとアーベル……いえ、彼の方ですか
[はっとして、ひし、と懐のオルゴールを抱きしめると]
渡しませんからね! 誰にも。貴方にも!!
[そう言ってアーベルとオトフリートをきつく睨めつける]
召使い ユーディットは、ランプ屋 イレーネ を投票先に選びました。
ぇ・・・
[先程まで危機に直面していた青年の言葉とは思えなかったのか、意外そうに瞬く。]
[やや逡巡した挙句、頷いた。]
・・・・・行く。
─庭園─
[走り、追いつけばそこには追っていた者の他に二つの影]
……っ!?
[問答に飽きて鎮まった魔は、蒼髪の青年に何か感じたか。
いや、今はそれよりも]
そう言って、それを抱え込んで、取り込まれた例は過去の文献にも多々ある!
冷静になれ!
[オルゴールを抱え込むユーディットに向けて怒鳴るように。
それが既に魔とは響きを違える声と、彼女が気づくかどうかは定かではないが]
[予想通りの人物が現れれば、紅の瞳は愉快気に細む。
睨みつける様な視線にも、臆するどころか―――まるで]
…随分と、愉しい見世物だった。
[言葉を紡ぐ口唇からは、くつくつと低く笑みを零し。
侍女の後ろから、走り迫る金を湛える影には気付いたのか。
それでもその足は淀む事無く、侍女へと向けて。ゆっくりと歩み寄る]
[イレーネが驚いたように瞬いたその意味に気づき、一つ苦笑をした後]
なんか会話に出ていた歌姫とかいうのの真意とかいうのが気になっしな。
なーんかエーリッヒは知っているみたいだし、ここまで巻き込まれたんだから聞ける分だけ聞いておかないと損だ。ってとこ。
ま、もう危険はこりごりだけど
[と、肩を竦めながら言うと]
で、イレーネは窓から飛び出していくってのは……できるか?
[できるならばそのまま行こうと、できないならば普通に庭園に出ようとしつつ、庭園に移動するだろう]
ローエングリン。貴女でしたか。
[やれやれと言ったように、肩を竦める所作。
同じ使用人とて、彼女に信を置いた覚えもない。
裏切られたという心持など、毛頭存在しなかった]
渡さないのなら、如何なさいますか?
[睨みつける視線にも動ずる事なく、侍女へと向かう青年を見送る。
ざわり、揺れる薔薇が、魔に共鳴してか、白の一部は黒へと染まりゆく]
ランプ屋 イレーネが「時間を進める」を選択しました
見世、物? それって……
[どういうこと、と呟き、僅かに後ずさる
数歩下がったところで何かに躓き、その場で尻餅をつく
それでも、低く笑う青髪の魔から逃げようとズリズリと這い下がる
この感覚は……ああそうだ。初めてこの魔に遭った時にも感じた
……本能が告げる恐怖
何で私はそれを忘れていたのだろうか
コノ魔ニハ、常人ノ私デハ太刀打チナンテ出来ナイ
そうして、彼と私の間はなくなる]
・・・そう。
何か、ユリィらしい。
[返す声からは若干緊張が抜けたようでもある。]
・・・・大丈夫。
[後の問いには、実際のところは不明だが、気が急いているのか頷いた。多分、と小さく付け加えられたようにも聞こえたが。]
中/
村人Aは生き残ったー
でも生き残っても○○の村へようこそー
しかいえません(こんなときになにをしているのか)
俺らしいもなにも、いつだって俺は俺
[なんて返答しつつも、イレーネを見遣れば、眸がまた、紅を増したように見える。
驚きはあれど、昨日ほどの困惑はない。というかそろそろまともな神経が麻痺しているころでもあるわけだが……]
イレーネ…後で聞きたいことあっから。
[とだけ告げると、イレーネが窓から出るのを手伝いながら、無事出ると、一緒に駆けた。
声のする場所へと]
……もう一人の魔……そういう、事、か。
[低く呟く手に握られるのは、白い羽根。
肩の真白の妖精は、どこか困惑したような視線を、蒼髪の青年に向けて]
[後ろへと這い下がる女の様子に、薄ら笑み浮かべる。
侍女との間が無くなれば、ゆっくりと視線を合わせる様に、しゃがみ]
───ご苦労だったな、ユーディット。
[侍女の耳元へと囁くように。釣り上げた口端から零れる冷ややかな言葉。
怯える相手を見詰めるその瞳は、紅玉の光を湛えて。]
……このまま、最後の"役目"を果して貰おうか。
[その手は、いつの間にか相手の腕へと抱えられたオルゴールへと伸びて。
一度、ふわりと柔らかな笑みを向ける。その声は、冷酷に。
カチ、と小さな音と共に―――銀の蓋が、開く]
そう、だったね。
[ほんの少しだけ口許が笑ったように見えたかも知れない。]
・・・・・うん。
[此方に向けられる視線に、“聞きたいこと”の予想はついたのか目を逸らした。]
[何とか庭に降りると、手伝って貰ったことに礼を言って、少し遅れながらも同じ方向へ駆ける。]
―音楽室→庭園―
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