4 赤き雨降る崖の上で
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【墓】 冒険家 ナサニエル
あぁ、永遠にだって傍に居たいよ。
[ローズを抱き締めて語る甘い睦言は
その場にそぐわぬ色合い
広間では、また一つ
命の焔が消えたところ]
……そして残るは獣ばかり、か？
[そして消え行く命の代わりに
全て焼き尽くす朱が揺れる]
【墓】 牧童 トビー
[彼は丸まったまま――― 夢を見てるから。
”お兄さん”によって、少女がその命を手折られた事も知らぬはず、]
[――なのに。]
[残り僅かな魂がまた、雫となって零れていくのは *何故だろうか*]
流れ者 ギルバート
[既に広間は]
[燃え広がった焔に包まれつつあり]
[充満した白煙が喉を焼く。]
[此の中に在っては]
[仮令強靭な生命力を持つ人狼と雖も無事に済む筈も無い。]
[此の儘留まり続けるのも][そろそろ限界に近い。]
学生 メイ
……いいよ。
止められるものじゃないのは、わかるから……。
[途切れた言葉に呟くようにこう言って。
それから、心配そうな瞳をじっと向ける]
……大丈夫？
[不安げに問うた直後に、自身も軽く、咳き込んで]
書生 ハーヴェイは、お嬢様 ヘンリエッタ を投票先に選びました。
【墓】 吟遊詩人 コーネリアス
[がたりと梁の燃え落ちる音。
静かに焔は館に広がり、
燃えてゆく燃えてゆく
消えた命も、まだ消えぬ命も包み込んで。]
学生 メイが「時間を進める」を選択しました
流れ者 ギルバート
[少女の首に回した腕を解き]
[殆ど][優しいと言っても良い手付きで]
[投げ出された儘転がる][緑の髪の女性の傍に]
[少女を寝かせる。]
[……軽く咳き込む。]
【独】 流れ者 ギルバート
お眠り。せめて、一緒に。
若しも天国と云う物が在るのなら、其処で二人居られると好い。
俺は……決して彼の人には会えないから……。
【墓】 牧童 トビー
[瞳閉じたまま、唇が微かに動く。漏れるのは嗚咽ではなく、哀願。]
逃げて…
[その言葉は、誰に向けてのものなのだろう……？]
流れ者 ギルバート
[二人寄り添う様に][横たわる姿を]
[暫しの間見ていたが]
[少し離れた所で][向かい合う青年と少女の二人に向かって]
[振り向いた時には既に]
[其の表情には][一欠片の感傷も窺えず]
書生 ハーヴェイ
大、丈夫……つったら嘘になる、が。
[ 存外素直に其の言葉を口にして、右腕から零れる緋色の雫を舐め取る。其の程度で渇きが収まる筈も無いが暢気に“食事”を取っている訳にも行かずに。]
そうも云ってられない、だろう。
[ 端目で永遠に目覚めぬ睡りについた少女を見遣り、其れから服を裂いて自らの右腕を縛る。]
【墓】 冒険家 ナサニエル
……あぁ……
[床に散る赤よりも、焔の朱が其れに勝り
揺れて揺れて
其処にある全てを
嘘も罪も死をも全てを無に返そうと]
【墓】 酒場の看板娘 ローズマリー
［彼のうでのなかからでも、その焔はよく見えて。
わたしは、壊れた景色を眺める。］
……かなしい獣たちだけだわ。
でも。
一緒に、燃えてゆくのかしら？
［その言葉は、願うようでもあったかもしれない］
学生 メイ
……うん。
[こく、と頷いて。
それから、呼びかけてきた声の方を振り返り。
横たわる、二人の少女の姿に、瞳は僅か、揺らいで]
……あの言葉を聞いたら。
キミは……それに従った？
[問いは、赤毛の少女に向けて。
勿論、答えは返らないのだけれど]
流れ者 ギルバート
否。
[未だ聲を持たぬ][人ならぬ人][獣ならぬ獣は]
[実声で応える。]
俺は…彼の人と一緒に行けなかったが。
彼女は行くと言って呉れたのだろう？
学生 メイ
……って、ちょっ！
[唐突に抱き上げられ、声が上擦る。
更に似合いと言われ。
焦り]
あ、え……と……。
[だからと言って、逆らう理由もなく。
そのまま、身を預け]
流れ者 ギルバート
ならば。
其の日まで一緒に居ると好い。
[然うして][今度は碧の髪の少女に顔を向け]
離すな、最期の日迄。
[祝福する様に、][鮮やかな笑みを。]
【墓】 冒険家 ナサニエル
あぁ、哀しい獣たちさ。
命有る物は皆哀しみを背負う。
人も獣も同じ事。
……燃えてしまえば…
だけど、そうも行かないみたいだな。
[獣が少女を抱き上げるのを見れば、薄く笑う]
生き延びろ。
人の命を喰らって生きるのならば。
奪った命の分まで生きて見せろ。
【墓】 牧童 トビー
[焔は燃え上がる。永遠の眠りについた者達を、中に抱いたまま。
それは、凄惨な館を棺桶とする―― *火葬のように。*]
書生 ハーヴェイ
……る・せ・え、つってんだろう。
[ 男に云い返しつつ半眼に成る其の青年の双瞳には、現在は獣の輝きは無い。其れは束の間の事であるのかもしれないが。然し其の後の言葉には瞳は瞬かれ、]
……………、……然様で……。
[何処と無くバツの悪そうな表情をしながらも、然う呟く。]
【墓】 吟遊詩人 コーネリアス
…それでも、共に在りたい気持ちは理解る。
[できるならば、あの調べに永遠に寄り添って居たかった、そんな心もある故に。
聞こえたコエにポツリと応える。]
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