情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
[――始まりの場所――
ある者は覚悟を込めて、またある者は引き止められるままに、またある者は自ら望んで訪れたのではないけれど。
彼等をもてなす晩餐会の代わりに、血の惨劇が始まると皆に知らしめた場所。
あの時のように、今もまた、彼らはそこに集まって。
生きている者、死んでいる者。
人、獣、どちらでもない者。
全ての者が――最後の幕が下りるのを見届けようと。]
[かつて彼を「一人で歩くのはあぶない。」と心配してくれた青年の笑みは、ぎこちなくも温かみが感じられたのに。今、青年が浮かべているのは、一掻きで掻き落とせるのではと思う程に薄い笑み。]
………ぁぁ…。
[黄金に煌く琥珀の眸は、肉食の獣のようで。身を震わせて、嘆く。]
[そして――場は動く。その時を待ちわびていたかのように。]
……なっ…ウェンディっ!? ハーヴェイさん……っ!
[銃を向ける少女。散る鮮血。床に落ちる、小さなナイフ。
そして彼の良く見知っていた青年が浮かべたのは――獣の嗤い。]
そんな……そんなっ!
ハーヴェイさん…が…? ねぇ、どうして……っ!?
[やや皮肉な笑みを浮かべて鋭い言葉を放つ青年は、彼にとってやや苦手であると共に、いつか越えたいと願う目標でもあって。
そして、そのぶっきらぼうとも見える態度や言葉の奥には、確かに親しい者への気遣いが含まれていた、と思う。
だから、目の前の”現実”を信じたくはなくて。
大好きなお姉さんの死を知った時のように、目も耳も心も閉じてしまいたかった。
けれど――見届けると、心に決めていたから。
ぼろぼろと涙を零しながらも、目を逸らす事無く、それを見続ける。]
[背後で青年と少女の会話が流れ]
「でも、私は…神父様の敵を討つためなら…人だって殺せる程に…なってしまったんです」
「前者です、と云いたいですが。……喰らったのだと、貴女は云うのでしょう。
[其れを耳に入れ乍ら][揺らめく焔に魅入られた態で]
[す、と][何気無く][暖炉にくべられた薪に手を伸ばす]
[其の行動は]
[対立する二者と其れに注視する者達][広間を覆う緊迫の空気故に]
[誰にも見咎められる事無く]
「敵を討ちたいのなら、此の時間に行うべきではなかった。
如何して、神父殿と同じ過ちを犯すのか。」
[其の言葉に一拍遅れて銃声。]
[少女の軽い身体が反動で後ろへと]
[青年の右腕から][鮮やかな赤が]
[同時に]
[侍女服の女性が掌中の“物”を]
[投付け様としたのか][手袋の白が閃いた其の瞬間]
[その彼の視界に入ってきたのは、これまたよく見知った村の少年(?)――いや、纏う服からして、少女なのだろうか?]
…ぁ、メイさん………っ!
[けれど彼が叫んだのは少女の服装のせいではなく、床に落ちていた彼の名が刻まれたナイフを少女が手にした為で。]
ダメだよ…! メイさんやめてっ!
[元気で良く彼の事をからかっていた、少年とも少女ともつかぬ事が気にならぬ程、親しかった人。
けれど、人の死に怯えて震えていた姿を見てしまっていたから。
いけない、と叫ぶ。
よく見知った少女が、よく見知った青年を傷つける姿なんて見たくない、と。]
[風切る音を立てて][飛来した物体]
[火の点いた薪が]
[其の手を打ち]
[掌から黒い塊が弾かれ落ちる]
[ハッと][驚きに打たれ]
[其れでも脚に手を走らせ][短刀を抜き放ち]
メイ…さ………
[声が、かすれる。涙がまた溢れて、頬を伝う。]
[それは、健気に神父様の敵を討とうとした、金髪の少女の死が哀しかったのか。
己と年端の変わらぬ少女の死が、己の死と重なったせいなのか。
それとも――仲が良かった少女と青年が傷つけ合わなかった事への安堵なのか。
わからぬままに、魂を削りゆく。]
ハーヴェイさんが、メイさんを選ぶなら……血を残してと願うコーネリアスさんの願いは叶い、同時に彼は永遠に彼女を手に入れること叶わず。
ギルバートさんを選ぶなら……血は(多分)絶え、メイさんはコーネリアスさんの手の届く所へと。
――どちらにしても、哀しいのは何故だろう。
そして…ギルバートさんは……?
あぁ、ボクが…ボクの死を見せてしまった事が、お兄さんを変えてしまった…のか…なぁ……。
ごめんなさい…ごめんなさい……。
記憶を失っていたのは…思い出したくなかったから…なんだよね…?
[人為らぬ速度で襲い掛かって来た影に]
[尚も抵抗し、][脚で蹴り付け]
[爪で掻き毟り或いは抉ろうと][手を]
[…然し、][其処迄、だった。]
[──圧し掛かった女の脚を両膝で押さえ付け]
[左手で][女の手首を][骨も砕けそうな力で握り締めて]
[黄金に煌く眸][細い月の形に歪んだ唇に]
[微かな嗤いを浮かべた]
[ 普段の彼ならば気付けただろう。旋律が何時の間にか途切れていた事も、彼女の気配が近付いて来ていた事も。然し人の意識は眼前に、獣の意識は男へと向けていた彼が“其れ”を知った時には全てが遅い。
闇色の双眸が月を宿し掛け、夜の獣が覚醒めようとした瞬間、銀の煌めきは碧の少女の手中に収められ、一驚を喫した彼の瞳から月光が消え理性の光が過る。]
な、……メイ!?
[ 少女の名を呼ぶも、寂寂とした薄紫の双瞳の巫女は留まらずに彼を傷付けた者を狙う。妙に淡々とした、其れでいて何処か稚い子供の如き声が彼の耳を突いた。]
馬鹿、何をして……!!
[ ――何をして? 其れは己に向けられるべき科白だ。“賭けに勝った”以上、其れはもう己が身を獣へと変え、全てを喰らうと決めたのだから。詰まりは碧の少女をも殺すと云う事。彼女が如何しようが、彼には何一つとして関係無い。
其の迷いが彼を其処から動けなくさせていた。其れは幾度目かの事。嗚呼、然うだ、彼女が絡むと何時も斯うだったと今更ながらに思う。]
[ 今此の時になって、漸くハーヴェイは悟る。
護りたかった者の存在を。護るべき者の存在を。
――そして現在も過去も、其れを壊したのは己だと云う事を。
嗚呼。
自らの手で何も為さなかったのは、彼自身ではないか。
唯、己が欲望の儘に踊っていたに過ぎない。
何と滑稽なのだろう、舞台上の道化師は。]
[涙で霞む視界が、ゆらり、揺れて。
目に入るは、お下げの少女を押さえ込む、茶色の髪の青年の姿。]
…ネリー…さ…ん……
おにぃ…さ……
[控えめながらも優しく庇ってくれた、お下げの少女。
変わってしまった――変えてしまった…?――茶色の髪の青年。]
[あぁ、いっそ全て涙になって流れてしまえと、*嘆く。*]
──包帯を取りに行けば好かったのに。ネリー。
[獣の嗤い]
[睨み付ける女の][激しい瞳を][覗き込み]
[嘲笑い][揶揄する様に][囁く]
然うすれば、少なくとも、今此処で、こんな風に死なずに済んだ。
[然し続いた言葉には、]
[あえかに哀惜の色が滲んでは居なかっただろうか?]
[ ハーヴェイの両眼が見開かれ、そして緩やかに瞬かれれば其れは長い前髪に一時隠るる。
金糸の少女の胸から溢れるは消えゆく生命の焔の色。甘い芳香は渇いた獣の欲望を呼び起こす。彼方には男に組み敷かれ呻く護り手の少女。焔は潰えておらねど其れも“未だ”に過ぎない。
……ハ、
[ 歪む口許から零れるのは わらいごえ 。]
[最早耐え切れない、][と云った風情で]
[迸る赫い泉に口を付け]
[一滴も余さず飲み干そうと][貪り続ける]
[黄金の眸は蕩け][陶然と][赫の齎す快楽に揺蕩う]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新