[ノーラの声に、うんと頷いてそちらへと駆ける] ノーラさん、イレーネさんは……。[血の匂いは蛇のものだろうか。手探りでピアノに触れる。ピアノを弾いていたはずのイレーネのほうへ手を伸ばす] ……。[触れた指は冷たかった。硬かった。ざらりとした、感触] イレーネさん? どうして、どうして……っ。[石になってしまったのだとわかった。指が鍵盤に触れる。高い一音が響いた]