[ドアから出るとすぐにハインリヒの姿があった。彼は当然のようにアーベルの事を聞いてくる。最後まで見張りをせず出てきたことが少し後ろめたかった]え、えーっと……、多分大丈夫、です。勝手に動いたら、またツヴァイに口移しさせますですと釘は刺したです。[釘をさすのに使った本人にそれを言うのはなんだか間違っている気がした。気まずくなり、なんとなく横を向いて口笛を吹いた。ごまかしたつもりだったが、聞こえてくる舌打ちの音がそれを否定した]