ダーヴィッド。これは、冷凍睡眠前の怪我だ。
手術済みだよ。
職業柄の──とは言えない傷だが。
嗚呼、私が刺された時のニュースを、
そこの彼は [エーリッヒの金の髪を見る] 知ってるみたいだ。
刃も斧も持つ必要はないか……。
政治の力が、石化病の蔓延する世界を──変える事が出来る。
それが私の手では無くとも。
と今でも信じている、が。
身体を使える者が、使った方が良いじゃないか。
[真正面から人の顔を見る彼には珍しく、ダーヴィッドから視線を逸らした。それから、ふとシャッター音のした方角を振り返る。6の部屋へ入って行くアーベルの首にカメラがかかっている。周囲が少し見えて来た。ユリアンのまわりも。]
と、あちらの周囲に何か?