―― 医務室 ――
[目の前で倒れて、今、まさに石になりつつある老人。
眠っていたから、無理はさせたくなかった。
幾度か医務室に寄った時に様子は見たが、もう、無理なのだと、手遅れなんだと思った]
[息せききって、医務室の扉を開ける。
老人の元にと近づいて、その息がまだあることを確認した。
もう随分と石化が進んで、首輪の数字もかなりのもので]
……おじいさん。助かりますよ。
助かるんです。あとちょっとしたら、助かるんです。
だから、頑張ってください。
[耳元で、そっと囁いた。
彼の眠るマットを、そっと整える]