◆ENDRP 空中庭園編
[オクタヴィアと別れ、エレベーターに乗る。白い薔薇。渦巻く茨。高層ビルから見下ろす景色。霞みかけた夕暮れの空に煌めく星座。似て非なる景色が、あの古城での出来事を想起させる。
女性秘書と合流してから、ヘルムートはタイを緩め、深い息を吐いた。]
──待たせた、ブリジット。
自分で指定しておいて
やはり、この場所はキツかったな。
君は、大丈夫か?
ゼルギウスシステムが放置されるに至る
経緯に関わる重要な資料を、今、受け取った。
すべての真実を明るみにだして──と
言うのは、困難な事かもしれない。
戦後の外交問題もおそらくは絡んで来る。
私は、今は──。
冷凍睡眠以前のように、
急激に物事を進めようとは考えない。