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[苛立つ様子のハインリヒをちらと流し見てから]
……、 先に、ベアトリーチェを、
ということかしら…ミスター・フェヒナー?
[自分を、抱く。抱くは、怖れも内包し。
唸る声は苛立ちをよく現している。]
[ベアトリーチェの声]
[表情を緩めながら彼女のほうを向く]
───ちょっと、ぐるぐるする。
[だから薬は嫌いだ]
[息を吐き出して]
[目を閉じて]
[それでもやっぱりまだ]
[くらくらする]
●業務連絡●
>ノーラさん
実はどーしようかと思いつつ、全部が把握できてないので、
個人に任せようと思います。
また明日からは更新後、ランダム症状悪化、普通に行ってください。
いっっったい、です。
怪我? し、ってない、です、よ。
少し体が痛いだけで、す。
2時間も寝、てれ、ばこんなのは、治るです。
[そんなわけは無い。
少なくとも見積もっても一日は安静が必要だろう。
だけど足手纏いにはなりたくなかった。
なんとなくアーベルの気持ちが分かった気がした]
[咳が、止まない…苛立ちと共に思考までぶれそうだ。]
…わかってる。
順番にやっていく。
リーチェも、ブリジットも、せんせいも。
[低い唸り声、引き攣ったような。
焦れる、焦燥に…ぎりと奥歯を噛んで]
こうやって揉めてる間にも…
お前さんが打たせてくれりゃあ、いいんだ。
[ただ…ただ、救いたいだけなのに。]
(彼はもしかしたら、危険な存在なのかもしれないけれど)
[どうして、それが上手くいかない。]
……ハインリヒ。
ミスター・フェヒナーもだけれど…貴方もよ。
咳が、響くのではなくて。
[――蝕まれた箇所を知るわけではないが、そう謂った。
ちらと見遣った、その頚の数値に眉を寄せるか。
進行している。早すぎはしないか。]
[押され、注射器の方へ]
駄目よ先生。先生が先に受けるの。
私より酷いんだから。
[振り返り、オトフリートの腕を捜す]
──馬鹿、ユリアンめ。
[自分の足に絡みついていた蛇を潰し、ダーヴィッドと共にユリアンの蛇の始末を手伝う。蛇の始末にも随分慣れてしまったものだ。
ライヒアルトが戻って来たのを確認して、一度深く息を吐いた。]
[急激に冷えた大気は、蛇の動きを鈍らせるか。
運悪く直撃を受けたものがいたなら、そのまま凍りつくかも知れないが。
それを確かめる暇はなく、最後は転がるように部屋の外へ。
追ってくる気配は、どうやら、ないらしい]
……は。
やっぱり、やらんで正解だったぞ……。
[部屋から離れた壁に寄りかかって座り込みつつ。
思わず、こんな言葉を呟いた]
[ノーラの方を見る。メモを持ってるのに気づく。]
なにそれ。
[パスワードと聞き出せれば、研究室のパソコンの事を話すだろう。]
[咳]
[ブリジットの言葉で気づく]
[ハインリヒが繰り返す、それ]
───。
[莫迦]
[材質の違う瞳]
[眇めて睨む]
[あとで気分がよくなったら、一発ぐらい殴ってやろう]
[今は、その薬のやり取りを見たまま]
[探す間にも、響くハインリヒの咳に、振り返る]
ツヴァイさんも。
酷い咳だわ。
どうしてみんな、無理するの。
護りたいなら、自分だって生きなきゃ駄目なのに。
[思い出す。エーリッヒの温かさと、石の冷たさ]
[首を、振る。首を、振る。
ブリジットにも、男の言葉も、首を振る]
[苛立ちに、爪を噛む]
[左腕を上げた。ぱたりと、落ちる。
眉を下げて、ベアトリーチェを見た]
[半歩、ずれる。
がん、と壁を殴りつけた]
[泣きそうな目で、頭を抑える。男を、見る。
注射器と、ベアトリーチェを見る]
あー めー。
あー なー い!
わー べーいー。 べーいーち。
うー
…え、何、つめたっ…
[ライヒアルトが転がるように部屋の外に来れば
驚いたように彼を見ただろう。]
……
[再び紙に視線を落とす。やはり文字は掠れていた。読めないわけではないが、先ほどよりは詠み難いだろう。]
そう、…
まだ星が――導いてくれるなら…
[転がるように出てきたライヒアルトを心配そうに見た。消毒薬を見た。ユリアンを見た。]
ちょっと待ってね、ライヒ。すぐに終わらせてそっちに行くから。
[順々に、視線をやる。
ベアトリーチェに。ゲルダに、ブリジットに。
仰向けの青年に。男に]
[最後に、もう一度、ベアトリーチェに]
[伝わらない。伝わらない、伝わらない。
自分の分を、ベアトリーチェに、彼女の予備に回せと。
それだけが、伝わらない]
これが園芸家の日常か。
[額の汗を拭った後、壁に座り込んだライヒアルトに親指を立てて見せ、]
と、ユリアン。
少なくともこの部屋の探索は後回しだ。
図書館の他の設備は、
ちらっと入ったが曲がり道の途中の実験室かな。
ライヒアルト?
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