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[髪の寝癖を整え、水を飲み、手元の本に手を伸ばす。
伝記の方は、やっぱりどうも気が進まない。
それは傍らに放置して、手に取るのはリルケの詩集]
……眼鏡、探しませんと。
[呟きながらも、もう紙が黄ばんで虫食いの跡のある本を大切そうにめくっていく。別に、眼鏡がなければないで少し顔をしかめるくらいで読めるからいいのだけれど]
おはようございます、カルメンさん。
[こつりと入り口で物音がして、カルメンが入ってきた。
顔を上げると、ひらひらと手を振って挨拶をする。
どうさがゆっくりに見えたから、何かあったときのために意識のいくらかをそちらに向けながら、再び詩集に目を落とした]
[カプセルまで辿り着く]
[隅に寄せられた草臥れた、茶]
[自身の髪がさらりと落ちて、重なった]
…
[音無く口許を吊り上げ笑う]
……おはよう。
[せんせいの声に顔だけを向けて返す]
[そっと荷物を抱き上げて]
[ゆらゆら、其方へ歩み寄っていく]
『彼らはいずれも無邪気な笑みを口元にたたえ、
まばゆい、縫い目のない魂を持っている』
[カルメンがこちらに来る気配を察すると、ページを繰る手を止めた]
[目を上げて、失礼にならないようカプセルの中を整えると横向きに腰掛けるよう姿勢を変えた]
ああ、これですか?
リルケという人の、詩集です。もう、何度も読んでほとんど暗記をしているのですけれどもね。やはり、見ていると落ち着くので。
[体をずらし、彼女が腰掛けられるスペースを空ける。
ぱたりと閉じたその本を差し出しながら]
かけられますか?
─二階・(5)の部屋─
大変とか、言い出したら切りがなかろう。
程度の差こそあれ、全員同じ状態なんだ。
[心配かけたくない、という言葉>>591に、静かに言う]
……ま、甘えられると思った時には甘えとけ。
その方が、可愛げもある。
[次いだ言葉は、己が過去より紡がれたものだが。
それを知らぬ相手には唐突に聞こえるか。
ひとまず、鞄から出したアルバムを開いて渡す。
見入る様子>>619に、天鵞絨を過ぎるのは深い翳り色。
それを押し隠すよに、棚を覆う深緑のいばらに向き合った]
[ふと、心の奥底を掠めたもの。
それを振り払うよに蔦の状態や生育具合、絡み合い方を確かめる]
……中々、手強そうだが。
全く、歯が立たん、というほどでもないか。
[そんな呟きと共に、イレーネに向き直る。
未だに見入る様子に、今度は苦笑して]
……そろそろ、移動するぞ。
剪定道具、探さねば。
[声をかけ、移動を促す。アルバムは再び、黒の中。
廊下に出て、奥にいた者たちの話を聞くと、僅かに眉を寄せた。
先の部屋で見かけた様子、それが頭を過ぎったから]
……ああ。
俺は、よくは見ていなかったが。
ただ事でないのは、見て取れた、な。
[向けられた視線>>639には、自身が見て思った事を淡々と。
少女たちが部屋を見に行く、という言葉に自分はどうするか、と思索を始めた所に響く──甲高い、音]
……今度は、何だ。
[目まぐるしいな、と思いつつ。
*ため息、ひとつ*]
[此方に向く緑]
[優しい色][甘えたくなってしまう]
[此処へ来る前はこんなに子供じみては居なかったのに]
[きゅ、と茶色を強く抱いた]
リルケ?
[知らぬ名に首を傾いで]
[空いたスペースを見ると微笑]
[そ、と腰を降ろし荷物をカプセルの傍に降ろすと]
[差し出された詩集を受け取る]
…
[さらり開き見て]
[難しい]
[眉を顰める]
[書いてある事の幾つかは意味がわからない、けれど]
『彼らは、いずれも、無邪気な笑みを口元に湛え、
まばゆい、縫目の無い魂を持っている。』
[丁度開き見た所]
『そして(あるいはなにか罪なことに)憧れたりもし、
それゆえ、夢にもうなされる。』
[何か心底にこつりと当った気がして]
[言葉無く文字を見つめている]
―衣装部屋―
>>554
ノーラ?
[ここで休むというノーラに心配そうな顔をする。]
寒くなっても服があれば…?
[とりあえず、手持ちの服を置いて、毛布を探った。
それを壁にもたれるノーラの膝にかける。
>>564 行けと言われれば、頷きはするけれど……。]
待ってくれ……ちょっと着替える。
[そして、ノーラの視界に入らない場所にいくと、もう適当に白いシャツとデニムのパンツに履き替えた。…と、それまではどれもサイズが合わなかったのに、不思議に適当に掴んだのは思いのほかちょうどいい。
さっきブリジットに選んでもらったジャケットを羽織ながら、ベアトリーチェ用の服を掴む。]
あとで迎えにくるよ。
[衣装部屋の壁際にたたずむ女を見る。一瞬、昔の絵画のように見えた。]
[自分の隣に腰を下ろす彼女に、にこりと笑いかける]
ええ、昔の、チェコの詩人です。
私の生き方を、決めた一人ですよ。
[彼女の朗読を聞くと、その声音にほっとする]
その詩は、好きなものの一つです。
天使といいつつ、子どもたちのことを言っているみたいで。
まあ、彼らもそんなに綺麗なだけではありませんが。
[好きなもののことなので、つい、語る]
カルメンさんがカルメンの舞台に惹かれたのと、
同じような感じなのかもしれません。
―衣装部屋を出たところ―
>>665
[衣装部屋には思いのほか長くいたような気がする。
部屋を出たところで、左奥からすごい音がして、眉をひそめる。
その時に右手から、少女が杖をついてきたのをが見えた。]
ベアトリーチェ…だね?
[そして、一緒にいる男性にも瞬いた。確か…カプセルで一度目覚めたのを見た……。
とりあえず、ベアトリーチェには服を手渡す。白い杖から彼女がどこが不自由なのかわかっていたので、ピンクのワンピースだということを告げて……。]
すぐここが、衣装部屋だ。中にはノーラがいる。
貴方も、何か着るといい。えっと…。
[そして、ヘルムートに名を告げて名を聞く。
さすがにその時、気がつくだろう。彼がいくぶん名がしれた政治家であることを。]
[生き方を、と零すせんせいにちらと視線を移す]
[もう一度、蒼で文をなぞりながら]
…そう。
昔の、……詩人。
[ゆっくり頷いた]
[舞台について触れられると複雑な笑み]
ねぇ、せんせい。
私、馬鹿だからきっと完全には理解出来て無い。
……でも、凄く、綺麗だと、思った。
だからもうすこし、知りたいの。
これは、どういう意味なの?
[丁度、いまのところを指差して、問う]
[子供が先生に問い掛けるような、何処か甘えの残る声で]
[そして、ベアトリーチェやヘルムートと別れれば、音の鳴るほうへ向かおうとも思ったが…
悲鳴や、誰かが慌てて出てくる様子はない。]
たぶん、石像が倒れたか…。
[老人がそれを押して砕いたときと同じ音だった気がした。]
………。
[どうしようかと考える。
服は渡してしまったので、下に行っても仕方ない……。
さっきのゲルダのことは気になるけど。
(もうすでにゲルダが3の部屋にいることなどは知らない)
そのまま廊下を見渡し、{5}の部屋のドアを見た。]
―5の部屋―
あ………
[ドアを開けて中に入り、閉めた時、そこには誰かいただろうか?それとも無人だったろうか。
なぜかよく覚えていない。
何でか、急に目の前が暗くなったから…。
いや、同時に痛んだ。胸が………。
痛んだというより、何か踏み潰されているような恐怖感……。
ドアに静かに背をつけて、座り込む。自分の息の音が一瞬聞こえたが……。]
[詩に興味をもってくれたカルメンに、嬉しそうに笑う]
詩は、思うがままに感じればいいと私は思いますよ。
リズムが良いものが多いですし。
私も、まだまだ私の解釈以上のものが出来ていないんですよ。
[そうして、向き合うようにして]
ここはですね。
[一つ一つの単語の意味から、ゆっくり話していく。
まるで、授業みたいで楽しかった。
実際の授業をやるときは、こんな風にいい生徒ばかりなんてめったになかったけれど]
大体において、天使というものは神の使いとして個性をなくし、神聖な、それでいて人間とかけ離れたものに描かれるわけです。この詩でも、2連目などがそうですね。
ですが、この1連目は、見ようによっては非常に天使たちが人間のように書かれています。
これによって……
[いつのまにか、自分の方が夢中になっていた。
この人の、子どもに対する目線が好きだった。
言葉の選び方が、暗い口調の中に潜む、どこか前向きに、希望をつかもうとするような静謐な光が好きだった]
─ 二階・廊下 ─
石像が倒れる音。
死体が壊れたと言う意味だろうか。
[少女の背中を見送り、ゆっくりと歩を進めかけていたところで、手前の部屋から出て来た赤毛の男性と視線が合った。サファイアブルーの瞳で真正面から相手を見詰め返す。
赤色に見覚えがあるような気がするのは、覚醒時に側に居た相手だからだとは瞬時に思い至らず。ダーヴィッドがベアトリーチェに話し掛ける様子を、後ろで見守る。誰に対してもそうだったが、幾分、真正面から見詰め過ぎて、不躾、あるいは値踏みするように見えたかもしれない。]
ノーラ?
衣装部屋には、女性が居るのか。
安全が確認されている部屋なら、行って大丈夫だろう。
ベアトリーチェ。
そして、そちらの申し出は有り難いが、
私が今、女性が着替える部屋に入るわけには。
──ダーヴィット。
[相手の「ああ知っている」と言う表情の変化。「知ってる」に続く言葉を待ったのは。]
[部屋5に入るダーヴィッドを見送り、しばし瞠目して佇む。]
私が此処に来る前、刺された事を知る者は居ないのか。
先にすでに、この施設に入っていたから?
私が最後の“当選者”だから?
記者が大勢いたあの場での出来事を、父上でも消しきれたとも思えない。
醜聞を、知られていない事に不都合は無いが。
落ち着かない。
[口元には自らに向けた皮肉げな薄笑みが*浮かんだ*。]
―衣裳部屋―
[ダーヴィッドが着替えるというなら視線を外した。
不思議な感覚がずっと目覚めてからしていた。
それは病のせいなのだと感じていた。]
…
[壁に背を委ねたまま思考を巡らせても答えは出なくて
迎えに来る、と言ってくれた言葉に小さく頷く。]
…は、
[2人がいなくなってから水色の寝巻きを落とし薄赤い服に袖を通す。暫くしてから、何か壊すような音が聞こえてきて不思議に*思った。*]
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