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[左眉だけ、寄る。足に当たった、ちぎれた首輪を拾う。
胸ポケットから、右半分になった眼鏡を取り出して、かけた]
[そうして。誰かが来るか、満足するまで。
毛布や、暖かそうな衣服を石像にかけている**]
―3階奥扉前―
…解らない、――わ。
[離した手、もう一度手を伸ばして
恐る恐るその扉を開いていく。]
―――――
[そこに見えたのは 無数の蛇と、多数の石像。]
……い、や …
[ぐらりと視界が揺れた。]
…そう、か。
今から行くから、大丈夫だろ…。
[>>184先に任せて部屋を出たのはこちらで。
悪かったな、と申し訳なさそうにユリアンを見た、が。
その後の言葉にはとても疲れたような溜め息。]
……病状悪化するようなこと言ってくれるなよ…。
[向かうのが少しだけ怖く、なる。
溜め息ついた後、表情を切り替えると少し険しい目を向け]
…病状を和らげる薬が手に入った。
完治とまではいかないが…即効性で数値がかなり下がる。
特効薬が完成してるってのに、真実味が帯びたってとこか…。
[何処か悔しげにしつつも注射器の入ったケースを見せて]
――――…あと、
[言いにくそうに口篭って]
………また、…ベルトが…
[石になった、と口にすることができないのは。
まだどこで受け入れがたいと思っているからなのかもしれず。]
……イレーネの時と同じ…、…エーリッヒが。
薬があったです、か。
じゃあ、早く口移ししてあげてくださいです。
[笑い出そうとした、しかし出来なかった。
ハインリヒの口から出た言葉に衝撃を受けた]
また、ですか……。
エーリッヒも、です?
[前回ほどの衝撃はなかった。
二回目だからだろうか?
直接見てないからだろうか?
あるいは、自分が守る約束してないからだろうか?
それでも、感情は苦しみを訴えてきた]
[どれぐらい呆然としていたかは定かではない。
ハインリヒが目の前にいるという事はたいした時間ではないのだろう。
沈黙する空気を吹き飛ばそうと口を開く]
でも、黙ってる場合じゃないで、す。
アーベルに薬を使うです。
[アーベルはそれを望まないかもしれない。
だけど、それでも生きて欲しかった。
これ以上の犠牲はいらない、心の底からそう思っていた]
…エーリッヒと…もう1人。
確認はできてないが――恐らく、カルメンも。
[人の変わった様な様子を見せたゲルダも、
ダーヴィッドを抱え込んだヘルムートも
同じ名を口にしていた――何かがあったのは確かで。]
……今から行く。
[頷いて、それから廊下の奥の方に紺青の眼差しを向ける。]
…せんせいって人は、集合場所に来たか?
顔に、症状が出てきてた人だ。
[喋ることもままならないようだったから、彼にも早く使ってやりたい。
少しでも良くなれば…治りたい、生きたいと思うはずなのだ。]
[あまりの衝撃で身体全体が硬直した。
ぐいと腕を引かれればなされるがまま]
……!?
[これは、あの時視えた 白い花?
違う。コレは、茨――。だけど。]
く、…ッ
[松葉杖を伸ばし、バタンとその扉を閉める音がしただろう。]
カルメン? だれです。
知らないです、僕は。
[知らない人がまたいたことに驚いた。
そして、知らない人の死には何も感じない自身の感情にも]
フェヒナーさんですか?
そうい、えばいつの間に、か消えてた、です。
確かに、言葉も辛そうだったでした、直して、くだ、さいです。
[オトフリートの様子を思い出して苦い顔をする]
[扉が閉まった。
“危機”―と、そう彼女が感じたもの―が遠のけば
白い花をつけたいばらは静まりほどけていく。]
ッ……は
[ノーラの腕を掴んだまま、
さらに数歩退くと。]
は―― 、…
[膝から、かくりと崩れ落ちる。]
お姫様は平気、です?
[ブリジットの事だった。
振る舞い、気品などがやはりしっくりと来た故だ]
爺は面倒見てあげないと駄目で、す。
でも、今は王子様優先でもいいと思うですです。
[爺といわれて少しむっとするであろうハインリヒから少し距離を離した。
一緒にいないということは恐らく3Fにいるに違いないと考えた。
ならば、爺の代わりに自分が行けばいいのだ]
…助かった、わ。
[それは彼女と、助けてくれた白い花と茨に向けて。
彼女が崩れ落ちれば腕は掴まれたままで
一緒にその場にぺたりと座る形になるだろう。
ふわりと赤と長い黒髪が揺れて、横を見れば彼女も―――]
…
[僅かに見えた首の隙間――数値が上昇して]
あ、そうだツヴァイ、一つ薬よこせです。
数があるんだったら、途中で誰、かにあったら渡してあげます、です。
そして、お姫様は任せ、ろです。
僕が様子を見てきてやろうで、す。
[ハインリヒから薬を受け取って偉そうに胸を張った]
…知らないか?
ふわっとした、大人しい感じの綺麗な…
[ユリアンに向けた自分の喩えがあまりに抽象的すぎて眉を下げる。
他に特徴を思い出そうとして浮かぶのは――あの、虚ろな]
…彼女は、
もしかしたら…クスリを飲まされてた…かもしれない。
[今思えば――…そうなのかもしれない。
あれが…あれが、クスリによるものだったとしたのなら。
何故だろう、それ以上を考えようとすると脳が揺れる心地だった。]
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