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[バトンの攻撃を何度も何度も受け続けた頭は、既にその形をとどめてはおらず。
色の薄かった髪はどこか黒くも見えるか。
日のひかりが彼だったものを照らす。
ふと痛みを覚えたけれど、それはすぐにまぎれた。]
[元より、返事を待つ気など無く。
仔犬には目もくれず、刃を握った手を相手の胴へと突き出した。
その目は既に、親しい友人を見るものではない。]
あは、せんぱいが、そうだったんですかねぇ?
だったら、カタキウチにも、なるのかなぁ?
マァ、どっちでもいっかぁ
[くすくすと
口唇はあかく
頬も赤く
白の服も、その手も、使い慣らそうとしていたバトンも。]
体洗わないとなぁ……せっかくの服だったのに、もったいない
あ、せんぱい。
[しゃがみこんでその顔――と思われる場所を覗き込んで]
パスタ、本当においしかったんですよ。
それじゃぁ、ありがとうございました
[*真っ赤に染まった足跡が、扉へ、階段へと向かった*]
[避けきる事は出来ない。
それでも半身を捻り直撃を避け、刃は脇腹を掠める。
痛みが走った。]
………シャレ、なんね…っ
[構わず、横に転がった。
荷は邪魔だと判断して、肩から外す。
取りやすい位置に入れてあった獲物―――
幾らか刃の長い鋏を抜き去り、
後の荷物はヨウスケ目掛け投げつけた。
牽制にしかならないが、そのうちに体勢を立て直そうと]
[飛来する荷を避けようとし、けれど移動は間に合わないと判断したか。
刃を持たぬ腕でそれを受け止めた。]
……ッ…
[堅い物がぶつかる音。鈍い痛みに眉を顰める。
荷はそのまま落ちて足許に転がった。]
[逃げる、という考えは思いつかなかった。
低い体勢から地を蹴り、自ら、相手に向かう]
………んなトコで、死ねねぇっ!
[鋏の持ち方は、本来の用途ではなく。
横から握り、切っ先を相手に向けて突き出す。
それでも狙ったのが胴体ではなく腕だったのは、
躊躇いがあったか]
[声に大きな鋏が迫るのを視認した。
荷に気を取られていた先程の今で隙は大きく、咄嗟に荷を受け止めた腕をそのまま鋏の前に。]
―――ぐ、
[先程よりも鋭い痛みに、喉の奥から微かに悲鳴が洩れ、それでも無事な片手には刃が握られたまま。
肩口目掛け、小さな刃を振り下ろす。]
[溢れる赤に、手が止まりそうになる。
直ぐに手を離して下がればよかったのに、
生じた躊躇い故にそれは叶わず、
気付いた時には刃が迫っていた]
『―――やば、』
[膝を曲げてしゃがみ、
身体をバネにして相手の懐に潜り込むようにして、
体当たりを仕掛ける。
自ら一撃を受けに行く形にはなったが、
刃は肩口を浅く切るに留まった]
…!
[あかい血が見え、自らのそれに妹を重ねたか。瞳の色が翳り。
体当たりをまともに食らい、衝撃に少し下がった。何とか倒れずに踏み止まりはしたものの、刃は相手の肩口を掠めるに止まり、握る手が僅かに緩む。]
[跳ね上げられた手が狙う先を察知してか、後方に下げる。何とか取り落とさずに済んだ。
相手が鋏を取り出そうとしている隙に体勢を立て直し、首筋を狙い刃をもう一度振るう。]
[手は目的を達する事なく、空振りに終わる]
―――オレだって、
護らなきゃいけないモノがあるんだっ!
[先程の相手を真似るように、身を屈め、
引き戻した左腕を振われる刃に向けて翳す。
訪れるであろう痛みに歯を食いしばりながら、
遅れて取り出した鋏を、
切っ先を相手の腹部目掛けて繰り出した]
[刃が相手の首筋に触れるか否かで、
迫る鋏の存在に気付き、避けようとして、]
――ッ
[叫ばれた声に反応は遅れ、
――ずぶり。
鈍い音。
目を見開いた。]
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