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[ダーヴィッドが休んでいる様子に、少し安心する。]
流石だな、園芸家は。
[ヘルムートに取ってそれは、プロの料理人の手並みに舌を撒きながら手伝い、最後の仕上げだけを作らせてもらう料理のようだった。未知の領域の。]
私だって、しんじたく ないの。
彼を信じたくて…視たのに そのはずなのに…
[今までだって、ずっと、ずっとそう思って視てきた。
ぐず、と一度鼻を鳴らしてざわつく心を鎮めようと
傍にいるベアトリーチェの肩を寄せようと手を伸ばす。]
…そう。
深く知ろうと眼を凝らせば、「視える」の。
星の色で…教えて くれるわ。
[星に喩えるように伝えてくれる。
パソコンでみた薬品の情報を思い出し、言葉を続ける。]
私は…おそらくシャーマティートを投与された…
[ヘルムート達の後に続いて実験室へ。]
あ、ライヒ。
[無事な姿にほっとして、笑顔になるが顔をひきしめる。]
ちょっと失礼します。
[空気を読まずライヒアルトの傍へ行く。ジャケットを脱いで彼に返した。ずっと着てたから移り香がついている。]
ありがとう。おかげで良く眠れた。
[ぎこちなく右手を使っているのをライヒアルトは気づいたか。
そして周囲を見回す。]
邪魔なら出て行きますけど。
[ダーヴィッドにはこちらも軽い礼を返して]
……このくらいはできないと、仕事自体がこないもので。
[さすが、という言葉に、冗談めかした口調で返す。
『園芸家』の部分を他の言葉に置き換えなければ意味の通らないやり取りは、聞く者に何を思わせるか]
……さて。
結晶の作る星座とやらは、如何様なものですか。
[やがて、表示される、それへと。
向けられる天鵞絨は、険しいもの]
[ケホ、ケホ…緩く首を振った。
元々占いの類を信じていなかったからかもしれない。
だって、彼女が言うには自分は…、
けれども、自分は――、揺れる。眸を目蓋の裏に伏せて]
待ってる間 に、また…
誰かが 死ぬかも…しれないのに。
[エーリッヒだって…。
ノーラに感じたのは少しの憤り。
実験室の方を仰いで]
…訊いてくる。
[訊いて、もしもそうならば―――]
エレット
そう、お願いがあるんだ。
僕はノーラと約束をした。
ベアトリーチェを襲わないと、もちろんノーラも。
だから、僕がいなくなるまで、彼女らは
まだ飛ばせないで。
―実験室―
[ライヒアルトとヘルムートが何かしているのをぼんやり見ている。
そして、ふと、考えた。
きっと、ノーラも、そして、もし、僕がそうであると知ったら彼らも、
僕を殺したくなるんだろうな、と。
当たり前だ。
イレーネ、エーリッヒを石にして、カルメンを殺したのは僕だから。]
……っと。
[呼びかける声。
天鵞絨は刹那、険しさを和らげる]
ちゃんと、休めたなら、よかった。
……お前も、無理してただろ。
[軽い口調で言いながら。
右手のぎこちなさには、ほんの少し、天鵞絨を細めて]
大体は終わってるから、邪魔にはならんだろ、多分。
[肩が茨の絡まる石壁に触れる]
[痛み]
[眉をしかめる]
───、っは。
[目を閉じる]
[息を吐き出す]
[無茶をしたつもりはないけれど]
[そして、心の中で呼びかける。
ノーラとベアトリーチェには手を出さないでほしい。
それをきいてくれるかどうかはわからないけど。
約束したから。]
[結晶多形は、簡単に言うなら、その医薬品固有の成分を表わすもの。目の前で機械が、解析した数値をワイヤーフレームで立体図形を描いて行く。密告に添えられていた通り。
それは、確かに──ある星座を描いていた。]
…――
[誰かが、死ぬ。]
[もしそうなったら、殺したのは私だ。]
…えぇ。
[解っている。
だから、こんなずるい方法を取ったのだ。
自分が酷く、醜い。]
……
[訊いてくると、その言葉に何も動けない。
まだ、心の奥で――彼を信じたいと思う心が、いたい。]
[議員とライヒは何か話しているだろうか。
もちろん、呼びかけはせずに、ただ見守るだけ。
手も出さない。]
…………
[ふと、仲間からため息をつかれるけど…。
返事は返さなかった。]
聞いて、どうするの?
[口をついて出た言葉]
本当の事を言うかどうかわからないのに。
ううん。
本当のことを言ってるつもりで、嘘をつかされてるかもしれないのに。
待ってる間に、誰かが死ぬかもしれない、なんて。
じゃあ、どうして。
[先生を――。言おうとしてやめる]
[ヘルムートとライヒアルトに邪魔じゃないと言われて微笑む。ダーヴィットがぼんやりしてる様子は目の端に映って。彼も疲れてるんだろうと思った。]
無理してたかは休めばよくわかるね。ライヒもこれが終わったら休んで。傍についてるから。
──これは、
[息をのんで、まず作業の大部分を的確にこなしてくれたライヒアルトの顔を見た。無意識に残りの薬物が入ったままのタイピンを握る手が震える。]
[目を閉じる]
[息を吐き出す]
[ゆっくり目を開けた]
[足音]
[聞こえる]
[カメラを空に向けた]
[上手く撮れるかわからないけど]
[本当はいいたくないのに。
大事な人。護りたい人。それは、糸で繋がった存在だけではなくて。
だから、知っても憎むことが出来ない。責めることも出来ない。
何があったのかは、彼にしかわからないのだから]
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