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…っ、せんせぇ!!!
[思わず叫んだ声は、思った以上に高く鋭かった。
引き千切られる首輪。
オトフリートの半身が白く染まり、全身へと、広がる。]
違うの!…アリスさんはカルメンさん!
…カルメンさんを殺したのは、先生じゃないの!!
[けれど、もうそれは間に合わない。]
ッ――ハインリヒ!!
[腕を、止めようとして 掛けていくが
間に合うはずもなく。
触れられたか。 分からない。
目の前で、言葉無くした“せんせい”のいのちは、
断ち切られる]
[目を閉じた直後の声>>1。
違和感を感じて、無理やり目を開ける。
焦点は合わないが、異変は察する事ができた]
……だから。
無理、するな、と。
[息を吐いて、立ち上がろうとする。
数値をしばらく確認してはいないが、まだ、動けるのはわかった]
……先に、回復してきた方が、いい、か?
───。
[息を吐き出す]
[さっきよりずっと楽になってはいたけど]
[左は暗いまま]
[そのままの視界で回りを見る]
ブリス───?
[崩れ落ちたような]
[姿]
[ゆっくり]
[ゆっくり、近づく]
だい、じょうぶ?
[ふと見えた右手が変色していて、驚いて服の袖に隠した。動作がゆっくりだったから、こちらを見ている人には見えただろう。
音が漏れないようにゆっくりと呼吸を整える。冷えた下腹。触ったら硬いんじゃないかと思って怖くて触れない。]
…ぁ、……あぁ………。
[滅びの街から逃げ出した家族の、振り向いてしまった妻のように。
真っ白な石像のように変わってしまった、せんせい。
粉々に砕けた魂の、その残滓はこんなにも優しく温かいのに。]
…せんせ、じぶんはいいって。
自分の分は、リーチェちゃんの予備に、って……
[咳が、零れる。口元を押さえても止まない。
周りの音が聴こえなくなる…。
表情が見えないくらいに俯いて、落ちた首輪を見つめる。]
[救いたい…、護りたい、生きて欲しいと…]
[そう願っているだけなのに。]
…せんせ、約束したの。
一緒に帰ろう、って。
トビー、きっとまってる…って。
[本当に悲しいときって、涙も出ないんだ。
そう、思った。]
[ようやく晴れた視界が捉えたのは、弱々しく首を振る様子>>17。
小さく、息を吐いた]
歩けないなら、抱えていくから。
[端的な言葉。
それから、ヘルムートの方を振り返り]
他の設備は、それで間違いありません。
さっきの液体窒素も、そこで。設備は、それなりに生きているようです。
[先に問われた事>>4:413に答えるのと。
ユリアンの異変の兆し>>20は、どちらが先か]
(ベアトリーチェ…、一体――何が?)
[繋がれた糸は切れていない。確かに感じられる。
それが少女は生きている、と不思議と感じられた。]
…ユリアン?
[ダーヴィッドの声が聞こえればそちらの方向へ顔を向けた。]
ユリアン!
[服を裂くと同時に飛び出す一匹の蛇の尾……。
その長い牙がユリアンの胸に刺さっていて……。]
………ッ
[急いで引き抜くが、その身体ががくがくと震えはじめる。]
ユリアンッ………。
[昇っていた熱が醒めてきたのか…
自分が、今…何をしたのかを理解したのか。
俯いたまま、頭を押さえて。]
――…ケホッ……ッ
[顔は上げぬまま、同時に落とした注射器を拾う。
封を切っていなかったおかげか割れてはいない。
伏せたままの眸が探すのは、ベアトリーチェの姿で]
───大丈夫って顔、してない。
[頬にかかった髪]
[ゆっくりとした動きで]
[手を払われなければ]
[髪を直してやるのだけど]
どいつもこいつも───
[呆れた]
[転がる少女]
[止まらない咳]
他人の世話焼く前に、自分の世話焼きなよ。
[微かな、憤り]
ショックか?くっ………。
[蛇に毒があったかどうかはわからない。
ただ、あまりにも噛まれすぎて……の可能性は高い。]
ユリアン、しっかりしろッ!
[痙攣して、ガクリとする身体。
その胸に耳を押し当てて、眉を寄せた。そして、迷いなく心臓マッサージをはじめる。]
/*
自分襲撃だったら、殺害にしようと思ってたけど、
そうじゃなかったんで、蛇に殺されてもらいます。と一応報告。>ユリアン
[崩れるように倒れたベアトリーチェの姿に、
苦しげに眉を寄せる。]
………、
[微かに開いた口は声は出さず。
けれども、紡いだのは謝罪だったのだろうか。
その場にしゃがみ、幼い手を取ると
注射器から薬を投与して]
…うそ、嘘よ。
ユリアン…目を開けて。
[かたかたと紙を持っている手が震えた。
彼がこうなった原因を作ったのは自分だ。]
…っ、や。
嫌よ、こんなの…
[彼は病ではなかった。
生きて出られれば一番、未来があるはずなのに――]
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