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―― 冷凍睡眠装置安置所/カルメンカプセル ――
[別れ際。
ブリジットの怪訝そうな顔>>344には、
ただぽつりと呟くしか出来なかった。
それが、彼女に届いたか届かなかったかは知らない]
und glaubte nicht und nannte jenes Land
das gutgelegene, das immersüße
(彼は他人に言いたいように言わせ
あの国をとてもよくできた、常春の国と名づけた)
[だから、その間のカルメンの表情の変化には気がつかず]
喜んで、ミズ
[恭しく左手を差し出して、目的地までエスコートしていった]
[目的地について、きびすを返そうとしたとき。
不意に呼び止められて、驚いたように緑の瞳を見開いた]
愛称、ですか?
カルメン。情熱的でまばゆい、素敵な名前ですね。
[どこか切なげにその名を伝えてくる彼女に、瞬きをする。
尊敬する人物に、生き方を重ねたくなる想いは、分かる。
そこから自分が外れた時の、胸の痛みも。
勝手な解釈だったが、彼女をその名で呼びたくなった]
私も、彼女の生き様は好きですよ。
私にはとても選べそうにありませんけれど。
私の愛称は……残念ながら、そう洒落たものではないのです。
たいていは、ただ「先生」と。
ああ、ただ学生時代はオットーと呼ばれていました。
[そこまで言うと、少し瞳をいたずらっぽくめぐらせて]
……オトフでなくて、すみません。
カルメンがそう呼びたいのであれば、オトフでもかまいませんよ。
[さりげなく、彼女を愛称で呼んで笑う]
─玄関傍─
[途中、通り抜けた大広間。
語らう者たちの内、金髪の男は目覚めの時に見かけたな、などと思いつつ、軽く礼だけをして、横を通り過ぎる]
[そうして進んだ先には]
……ほう。
これはまた。
[先にやって来ていた者の姿より先に目に入ったその姿に。
口をついたのは、こんな言葉]
[通り過ぎる風。ナターリエのものだと知ると、風の向かった方向に会釈した]
……あ?
何か、踏んだのかな。
[ナターリエの声に反応する。振り向くことはなかったが、足音が一つ柔らかく響いたのは判った]
もう一人は、ゲルダさん、だったかな。
…灰色。
[ゲルダと名乗っていた女性の傍まで来ると、立ち止まり、聞こえた言葉を反芻した]
―安置所―
[ナターリエに笑顔で会釈を返されて、ふわりと微笑む。
その隣にいる女性にも軽く頭を下げてゆっくりと歩く]
ずっと寝ていたんだものね。
[どれだけの時間が経ったのかは分からない]
うん。起きてる人も何人もいるようだけど、蓋の開いていない装置の方がずっと多いわ。
そのどれもに赤いランプが点いてしまっているの。
あ、どうも。
[答えている時にナターリエと擦れ違い、再び会釈を交わした]
―玄関傍―
[人の気配にそちらを見る。名前も知らない顔。先ほどから声は聞こえていたか。]
床で寝ている方も悪いと思うよな。
[事情をわかっているかとか一切考えず、そう言って。息を吐いた。]
─玄関傍─
[天鵞絨の瞳に、真剣な光を宿し、そう、と手を伸ばす。
堅固な幹、鋭い棘。
茂る葉の色。
一つひとつ、確かめるよに、見つめて]
……なるほど。
手作業撤去に半年。
洒落にならんな。
[呟いたところに、かけられる声>>436。
天鵞絨が怪訝そうに瞬く]
……何の話だ、それ。
―― 洗面所 ――
[カルメンのもとを辞去すると、その足で一度洗面所に寄った。
そこにはもう、人影がなくなっていたから]
………早く、私物を見つけませんと。
[手早く顔と手を洗い、水を飲む。
そうしてこっそり服のすそでそれらを吹いた]
まさか、自分が口をすっぱくして毎日禁じていることをやる羽目になるとは思いませんでした。あの子達に見られたら、さぞや私は文句を――
[苦笑して、独りごち、凍ったように動きを止めた。
しばしの後。おそるおそる自分の首もとに手をやり、液晶を引き出して]
00%、Lv1ですか。変わってませんね。
一体、私はこんなところで何をしているのでしょう。
[ぽつりと表情のない声で呟いて、大広間に向かった]
― 大広間 ―
僕が澄んでる……と言われると、
ちょっと否定したい気もしますけど。
貴女が澄んでるから、見えると思った方が素敵です。
[曖昧に微笑みかけたところで、
一番初めに手を差し出した女性
――ナターリエと名乗っていた、が、
寝入っている青年を踏んで行った。]
あ、その後、調子大丈夫ですか?
[去る後ろ姿に声だけを掛ける。
――右手を気にしていたような、そんな記憶。]
ええ、特効薬ができて目覚めさせられた、
という訳でもないようですね。
[踏みつけられた青年は、それでも寝ていただろうか。
ノーラに答えながら、大丈夫だろうかと視線を落とす。
その視界の端に、黒髪の青年が過ぎ去ったのも見えた。]
―安置所―
踏んだ?
[ベアトリーチェの声に振り返る。
けれど良く見えなかったので追求はしないことにした]
ゲルダ、さん。
おはようございます、でいいのかしら。
[ベアトリーチェについて歩き天窓の見える場所へ。
会話には口が挟めず、ただ聞いている]
[いばらの様子を見ている男が不思議そうにこちらを見た。]
いや、わかってないならいい。
[顔が赤くなってる気がして、誤魔化すように壁に飾られた剣を見た。]
ゲルダが言ってた剣か。あれは、外れないんじゃないか。
[当てずっぽでそう言った。]
うん、ナターリエさんが、何か踏んだみたい。
何かわからないけど。
いばら、かな。
[茂っているらしい植物。棘があるのは知っていたから、もしそうなら痛かったのだろうかと少し心配した]
─玄関傍─
……そうか。
[妙に腑に落ちないものはあったが、特に追求はしなかった。
それから、視線を追うように剣へと目を向けて]
装飾用のものなら、外しても中身がない、という事もありそうだが。
いずれにせよ、ここまで育ったものには分が悪かろうな。
剣はそもそも、木を伐るためのものではないし、それに。
[淡々と返しながら、ゆっくりと濃い緑に触れる]
……生木を伐るのは、生半可な作業じゃない。
俺たちの中に、それだけの余力を持つヤツがいるかどうか、そこが怪しいかね。
[剣の用途で即時結びつくのは、いばらの封を解けるか否か、であるらしい]
[すわったまま、むぅ…と肘を突いて何事か考える。]
…第一優先事項、とりあえず生きる事。安全を確保し、ちゃんと食べ、ちゃんと眠る事。
第二優先事項、外部と連絡を取ること。異常事態を知らせ、救助を要請。
連絡が取れぬ場合は…やっぱ脱出かなぁ?
[ブツブツ独り言を言いつつ考える。]
ありゃ、なんか踏んだって?
[小さな子の声に、ナターリエが去っていった方を見る。]
寝足りなくて床で二度寝してる人も、いたしねぇ。
…流石に踏まれたら起きるよね、ふつー。
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