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[ファインダーに収める]
[白い石]
[壊れた眼鏡]
[人でなくなったもの]
[撮ってみようという、興味]
───。
[もう一つ、シャッターを押した]
[誰かが入ってきたとしても左目は]
[だから音がなければ気付けない]
オトフリートはピューリトゥーイは投与されてなかった。
──で、合っているね。
ゼルダは何も言わなかったから。
[実験室へ急ごうとするライヒアルトに、すぐ行くから先に向かってくれと頼む。タイピンそのものではなく、実験室で薬物の半分を移したケースを手渡して。入り口の壁に寄りかかるように立っているブリジットに、]
ブルジット。
ハインリヒが行った場所に心当たりは?
[眠りは浅い。深く眠れないのは、闇に取り残される気がしていたから。
話し声が聞こえた。あたたかな、抱擁。
知っている声だった。
気付くと、声はなく、ただ傍に、ノーラの存在を感じた]
ノーラ、さん?
誰かと、話していたの?
[首を傾げる]
[ユリアンの死の経緯。
きつく眉を寄せると眼を伏せる。]
――無茶、しすぎなのだわ
[嗚呼。でも、蛇のこと頼まなければ、もしかしたら。
痛みの戻った手を握り締める]
―2F 6の部屋―
[暫しの、間があいて]
ハインリヒは
手を、怪我していたから――
治療、しにいったのでは ないかしら
[『…まだ、今は…大丈夫だよ。』]
…探しに行きますの?
[――過ぎる言葉。]
[そうだ、とおもい出す]
ねえノーラさん。どうして、大事な人ばかり、いなくなるのかな。
先生も、石になってしまったの。
止めたのに。あの場所を、どけなけれは良かった。
注射をするんだと思ったの。助けてくれるんだと思ったの。
なのに。
目が覚めたら、先生は石になってた。
[それでももう涙は出ずに、ノーラの手に触れて]
もう、なくしたくない。
だから。
エーリッヒさんの代わりに、私がノーラさんを護るの。
注射だって打って貰ったから、もうだいぶ平気なのよ。
動けるし、息だって詰まらないし、耳だってちゃんと聞こえるから。
[歩き出そうとして、杖がないことを思い出した]
杖、見つけられなかったの。下の部屋にあると思うんだけど、あんまり、部屋にいたくなかったから。
杖、取りにいかないと。
[ノーラの手を引こうと腕を伸ばす。
オトフリートのことを聞かれたら、気を失っていたから、何があったのかわからないといって、ハインリヒの名前を出すことは*しなかった*]
―1階・ロッカールーム―
[もしも誰かが探しに向かっていたのならば
ロッカールームで壁に凭れて眠っている姿があるだろう。
1階の水飲み場に立ち寄った後は直ぐに2階に戻らず、
探し物をしている間に眠ってしまっているようだった。
ロッカーは、幾つか開けたような跡…
それは何かを探していたような跡。
そう…ずっと探そうとしていた…けれども見つからない。
――――…写真と試薬の入った、*パスケース*]
アーベル。
[名前を呼んだ相手の大きな瞳、変容して鉱石化した左眼球に視線を注いだ。
それから、ブリジットに頷いた。]
そのファイルも気になる。何せ、ゼルギウスだ。
ハインリヒを、一階の医務室から探すなら、
ついでに車椅子を取って来よう。
アーベルをヘリに乗せる時、運ぶ者に負担が掛からない。
[話し声]
[声の矛先がこちらに向かう]
[何故]
さあ───なんでだろう。
[一瞬を切り取る作業]
───多分、呼吸と同じなんだと思う。
[息を吸う]
[ファインダーを覗く]
[息を吐き出す]
[シャッターを押す]
[カメラを下ろして]
[ブリジットを見て少し笑った]
───はい?
[男の声]
[視線をブリジットからヘルムートへ]
車椅子なんて、いらないよ
[肩を竦めた]
[時間を掛ければまだ]
[自力で動けるのだ]
[シャッターを切る。
その行為に、少しの興味
絶望と悲哀とを切り取る。]
……薬が効いたばかりなら
無理はするものではなくてよ
[廊下の先、1階へ通じる階段へ顔を向けた。]
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