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それにしても、これ……は……。
[目に入るのは、あかの瞬き。
気だるい身体を引きずるように起き出して、隣の装置を覗き込む]
………………。
……なんの。
冗談だ。
[抑揚のない声が小さく呟く。
赤のアラートが彩る、無機質なしろ。
それが意味するものは、説明を求めるまでもなく、知れて。
故に、説明がほしかった]
うっ……。
[アラーム音が、コールドスリープから目覚めた頭に響く。]
成長期は、随分昔に終わったはずなんだけど。
[成長期には、足を引っ張られるような感覚で度々起きていた。
そう寝起きの霞かかった思考で、思い出す過去。]
イカロス……かな。
[酷く鮮明に覚えている夢。
その内容に、小さく呟いて、
長い眠りの為か凝り固まった首に手を当てる。
――そこにある感触に眉を顰めた。]
9人目、研究員 ハインリヒ がやってきました。
研究員 ハインリヒは、狂人 を希望しました(他の人には見えません)。
…… …なに これ
[囁きと吐息の合間のような声。眉を顰めた。
ゆっくりと、眸に光が宿る。“夢”の焉わり。]
何事なの…?
……Errorだなんて、…――
[花が咲くように、赤いランプが点滅する。
秒針は知らん顔で時を無遠慮に刻む。
頬から顎先、咽喉元へと滑らせた手。
頚に巻かれた黒い首輪に触れると、僅かに表情を強張らせた。]
10人目、盲目 ベアトリーチェ がやってきました。
盲目 ベアトリーチェは、おまかせ を希望しました(他の人には見えません)。
[トクトクトク。規則正しい音がする。長い時間この音を少女は聞いていた。それがどれくらいの時間であったのか、かぞえるのも忘れ、深く深く眠っていた。
その音が、大きくなって、目を覚ます]
……何の、音?
[腕を先に伸ばす。かつん、と爪の音が響いた]
ああ。
目が覚めたのね、私。
こほん。
[小さく咳払いをして、冷凍睡眠装置から抜け出す。辺りを見回すと、いくつかの開いた装置と、赤いランプが点滅する開いていない装置と、未だ沈黙を守る装置が目に入った。]
目覚めたという事は、治療法が見つかったはず。でも。
[眉をしかめる。蒼い目が映す景色は廃墟のよう。]
責任者はどこ。
[声を張り上げて踏み出した足がよろけたのは、病気故か、久しぶりに歩くせいで歩き方を忘れている為か。叫び声をあげかけた口を自分の手で押さえ、前のめりに倒れ込んだ。]
……とりあえず、これは違うが。
あいつらも、確か、いるはず……。
[零れ落ちるのは、掠れた呟き。
昔馴染みや、仕事上付き合いのあった者。
その内の幾人かも、ここにいた、と記憶していた。
そんな事を考えながら、ぐるりと周囲を見回す]
……俺だけ、というわけでは。
ないようだな。
[他にも開く蓋を見て、ぽつりと呟く。
声にはほんの少しだけ、安堵したような響き]
11人目、写眞家 アーベル がやってきました。
写眞家 アーベルは、人狼 を希望しました(他の人には見えません)。
/*
また、死んだ恋人がいる設定ですか。
…………幻夢では初めてだもん、初参加だから。
でも、中バレ要素、だね。
……うん。
今日、何日だっけ?
[手首を見る。]
あれ、無いや…腕時計。
いつもしてたはずなのに。
[血色の悪い肌を不思議そうに撫ぜ、ついでに着ていたものにも気がつく。
普段着るはずのない、水色のゆったりした服。]
なにこれ…まるで入院患…
…あ。
[ようやく思い出した。
計測機器の首輪に手を触れて、夢じゃないことを確認する。]
[辺りを見回すと、いくつかの装置があいていて。]
おはよう。
…起こされたって事は、もうクスリ出来たの?
[話しかけながら寝台を降りる。
感覚の戻りきっていない足はうまく力が入らなくて、ぺたりと床に座り込んだ。]
[ゆっくりと、立ち上がる。慎重に。
足が歩くことを忘れている。
手先がまだ冷たい。]
――… これは、…何の冗談?
[咽喉が、声を思い出す。
確かめるように立ち上がり、
足を踏み出した。取り巻くは――いばら]
…… ――
[カプセルを支えにしながら、
倒れる様子は見せない。注意深く観察をするように
辺りを見回し、開かぬまま赤を燈すひとつへ、
視線を向けた。]
[突如遮られた眠りにむず痒げに眉を寄せると、
首に感じる違和感に手を伸ばして緩く引っ掻く。]
[そして気付く、これがいつもの目覚めとは違うことに。]
[響き渡るアラームが、聴き慣れた目覚ましとは違うことに。]
………ん……
[時間をかけて紺青の瞳が開かれると映し出された見慣れぬ天井、
覚醒したばかりの眸は、記憶を辿る。]
[何か。][何が。][何で。]
…んもぅ、まだ寝ぼけてるみたい。
[ぺしぺしとふくらはぎを叩いて、隣の装置を支えに立ち上がる。
点灯している赤いランプ。半開きの蓋。
どんな人が居るのか、と覗き込んで。]
…っ。
[息を呑む。苦悶の表情を浮かべた石膏の彫像。
否、それは…病に冒されたものの成れの果て。]
やっ、
いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
[思わず悲鳴を上げてあとずさった。]
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