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[――それは、あまりにも鮮やかであった。
ナナエを表に動かしておき、己はノブに張り付いていると見せかけて、エドガーについていた。
元々彼には極端な異能は持ち合わせていない。
だからこそ鍛え上げたのは、暗殺術。
遠距離、近距離全てにおいてSランクを習得するだけの努力と、そして先読みしていく糸の力。
その二つを駆使して、行われる彼の最大技術こそ、『無音暗殺術(サイレントキリング)』である。
ある意味、異能を抜きにした場合、純粋な技術でいえば最強は彼なのかもしれない。
レッグはドア越しに、シャロンの真後ろに文字通り音もなく立ちはだかった。
先程、契約はなった。
ならば、確実にルイを助け出すために、エドガーを今ここで失う訳にはいかない]
――そのために、修羅となろうとも。
『私は能力者ではない。しかし、体術はある程度修めているし、この部屋にはレッグに渡されたC4の罠が仕掛けてある。加えて相手は本調子ではない。
後の事はどうとでも誤魔化せる。やるか…?』
[ナナエは、オーフェンとカルロスの戦いの一部始終を目撃してから、おもむろにアヤメの部屋に走った。
レッグもノブを調査するために忙しい身。
代わりに、彼女に依頼された仕事を伝えるために、だ。
ナナエはアヤメの私室前にくると、さっと二人の戦闘について紙に記すと、ドアの隙間に差込んだ。
それが終わると、元のレッグ付のメイドに戻るため、その場をしずしずと離れた]
ええ、本来なら勝者が持つと言うのが――筋なのでしょうが。
判りました。成らば宣言通り、僕が預かります。
[これではね、とカードで口許を隠しながら小さく笑みを零して。
続くディーノの言葉に、緩く目を伏せ頷きを返した]
…嗚呼、他の方にも告げて頂いて結構ですよ。
必要ならば遠慮無く―――奪いに来て下されば、という事も。
[貴方も宜しいですか、とジョエルに問うて。
可の返答が戻れば、自らのカードの納まった内ポケットへと
人馬宮のカードを滑り入れた。 と、ミュウの言葉に小さく笑んで]
――其れは、嬉しい言葉ですね。
レッグ辺りは僕よりも学を持ち合せていそうですが、
折角ですので、有り難く受取って置きましょうか。
ああ…。
先刻「『半身』がうるさくて」と言っただろう。
どういう意味なのかと思ったのさね。
[各人の能力は全てオープンにされているわけでもない。
だが当の本人に水を向けられたのなら聞いても悪くは無いだろうと、その疑問を口にした]
[音も無くレッグが現れ、シャロンに気付かれずその背後に回りおおせたのには流石に驚いた。無論表情には出さず、視線もシャロンの目を捉えたままだったが。]
[エドガーがこちらに気付いたのは当然であるのかもしれない。
気配を絶ちながら、殺気を放つという矛盾した芸当を行っているのだから。
しばし無言であったが、レッグは唇だけを動かして、こうエドガーに問うた]
『殺すか?』
じゃあ、任せるよー。
[カードをしまうマイルズに、にこりと笑って]
ま、その辺りは言わずもがな、でしょ?
最終的にどうしたいか、それに最も適した手段を選ぶわけだし、みんな。
[続く言葉は冗談めかしていたものの、碧の瞳はどこか鋭いか]
……ああ……『半身』……『アルゲディ』、ね。
言葉の通り、人が死ぬとうるさいのよ、コレ。
[ミュウの問いには、笑いながら右手の上に銀時計を浮かべて答える。
『アルゲディ』というのが、彼の振るう大鎌の名なのは、周知の事]
ああ、任せるよマイルズ。
必要とあれば「受け取りに」行くさね。
[内ポケットにカードを仕舞うのを微笑と共に見届けて]
なるほど、そういう意味だったかい。
たしかにソイツはアンタの半身だろうし、死に敏感であってもおかしくはないさね。
[頷きながらも、銀色の時計を認めて僅か目を細めた]
…ええ、確かに任されました。
[向けられる笑みに釣られる様に同じ様な意味を返し。
続く冗談めいた口調には、薄く苦笑を返す]
――確かに、その通りですね。
まぁ、受け取りに来る時は…出来うるなら
対複数で無ければ好ましいですが。
[そう言っても難しいでしょうか。
ミュウの言葉に、やはり何処か苦笑の混じる笑みを浮かべる。
しかし、そのレンズ越し微か鋭い光を瞳に湛え]
おかげで、仕事の時はうるさくてねぇ。
[良し悪しだよー、と。頷くミュウに冗談めかしてこんな事を言い]
……複数とやり合うのは、苦手かな?
まあ、もしオレが「受け取り」に行くとしたら、単一だからご心配なく?
[マイルズには、どこまで冗談かわからないような言葉を返して、また笑う]
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