―中庭:木の傍―[常より姉妹たちに囲まれる身、アナスタシアへと手を伸ばし、抱きしめるのも自然な動作だった]ありがとう、アナスタシア。[恩人に逢えた事、旧友と逢えた事。己に誘いをかけた彼女に礼を伝えれば、そっと離れる。こちらへと近づいて来るヒトを見れば、再び口元には淡い笑みが浮かんだ]オリガ。[彼女が知る昔とは違う。柔らかなテノールの、歌うような聲はない。恥じるように小さな潰れた声で名を呼ぶと、小さく頭を垂れたのだった]