─ ゼルギウスの部屋 ─
[部屋の鍵は開いていたようで、オトフリートが慎重にノブを回すと難なく扉は開いた>>1。
あちらが警戒して何かをしてくる様子もなく、ただ、窓辺にその姿があるだけ。
オトフリートがこちらを見た際に目が合い、訝しげに首を傾げた。
旅人は相変わらず幽鬼めいた雰囲気を纏っている]
じっちゃんが朱花だって知ってたこともそうだけどよ。
アンタには不可解な点が多い。
じっちゃんが朱花について何も言わなかったのに、アンタは勝手に皆の前で明かした。
黙ってりゃ、もしかしたらじっちゃんは襲われずに済んだかもしんねーのに。
素性も分からねー上に部屋に引き篭ってだんまりだしよ。
[旅人を問い詰めるように言葉を連ねて行くうち、段々と腹が立ってきた]