[お菓子の木に近づいたのは肘が触れ合う程ではなくなった頃。
アナスタシアの人(ブラウニー)柄に似た優しい味の歓迎の菓子は炎の魔人には少々甘かったため、摘み取ったのは真っ赤な色が毒々しい菓子でした。
一粒口へ放り込むと鼻腔で炎が弾け、鷲鼻から煙が漂います。]
へえ…
これはなかなかいいねー
[細い眉をへらりと下げて赤く染まった指を舐めます。
そして、ざらざらざら。
大きく開けた口に残りを全部流し込む姿に危機感を覚えた者はいたでしょうか。
顔を一瞬赤く染めた男は、菓子の木を避けるように横を向き――次の瞬間、口から炎が飛び出します。]