─ 聖堂 ─[借りるよ、と。告げられた短い言葉>>0には、ん、と小さく頷いて返した。掛けた声への反応はどうだったか。いずれにしても、自分は見届ける事を選んで。月のいとし子の死を感じた瞬間、感じたのは──相反する感情と]……っつ……。[欠けた記憶が浮かび上がろうとする時の、痛み。かつて、同じ状況で。自らが見出した月のいとし子の死が招いた嘆き──自分自身のものも含めたそれに、耐えかねて。けれど、自死を己に赦す事はできないから。記憶を欠落させる事で、一時そこから逃れた、けれど]