[は、と一つ、息を吐く。
向けられる言葉があっても、少年は一時、全ての揺らぎと迷いを押し込んだ。
たくさん選びたいものがあって、でも、その内の一部しか選べないなら。
今の彼に選べるのは、決めた事をやり通す生き方と、それを宣したひと。
それが、力あるが故の事なのか、自分の想いに基づくのか。
どちら、と問われるならば、迷いなく後者と答えられる]
…………っ!
[どこをどう傷つけられれば、ひとが死ぬかは教えられている。
けれど、それをするためにわざと傷つける刃物の使い方なんて知らない。
抵抗があれば相応、苦労はするだろうけれど。
振るった刃は、最終的にやわらかな胸の下。
鼓動刻む場所を貫いて。
──白い白い、雪の上に、あかい彩が散る]