人狼物語 ─幻夢─

103 氷面鏡に映る彩


仕立て屋 ユリアン

─ 早朝・ライヒアルトの部屋 ─

[着衣から、寝台の上の遺体がライヒアルトであることもわかった。
ユリアンはその場でがくりと膝をつく。]

 間違って、いた…………。
 最初からずっと、ぼくは間違って……?

[こぼれ落ちた細い声に答える者はいない。

どれくらい、そこにそうしていただろうか。
ビルケに袖口を引かれ、ユリアンはのろのろと立ち上がる。
血塗れの寝台に近づくことができず、同時に去りがたくも思え、動くことをなおも躊躇っていた。

やがて大きく息を吐き、胸の前で祈りの形に両手を組む。]

 ……ごめんなさい。

[神ならぬただびとの身では、これから起きることを予知しようもなかったのだ。]

(37) 2017/01/20(Fri) 14:02:23

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