─ 早朝・ライヒアルトの部屋 ─
[着衣から、寝台の上の遺体がライヒアルトであることもわかった。
ユリアンはその場でがくりと膝をつく。]
間違って、いた…………。
最初からずっと、ぼくは間違って……?
[こぼれ落ちた細い声に答える者はいない。
どれくらい、そこにそうしていただろうか。
ビルケに袖口を引かれ、ユリアンはのろのろと立ち上がる。
血塗れの寝台に近づくことができず、同時に去りがたくも思え、動くことをなおも躊躇っていた。
やがて大きく息を吐き、胸の前で祈りの形に両手を組む。]
……ごめんなさい。
[神ならぬただびとの身では、これから起きることを予知しようもなかったのだ。]