─ 広間 ─
[けれども、思い出した。
ライヒアルトの遺体には内臓がろくに残っていなかった、と。
思い返せば、部屋には血の臭いだけでなく、食い散らかされた臓物の生臭さも漂っていた。]
……人狼も、空腹、なんだな…生きてるから…。
[知り合いを食い殺す。
およそ、正常な精神状態で行えるとは思えない。
それはただの殺人よりも、数倍残酷なことではないだろうか。
「場」ゆえの、やむにやまれぬ衝動にかられての行動だとしても。
明るくなった窓の向こうの庭園に、立ち続け>>27る人影を見つけたのは、考えあぐねて顔を上げたときだろうか。]**