― 学長室 ―[春の握るタオルが白から赤へと変わってゆく。学長の胸に宛がわれた其れに一瞬声を失った。見開かれた眸に宿るのは驚愕の色。やがて何かを耐えるように柳眉を寄せて]春……[静かに労るように呼ぶのは友の名。ゆっくりと歩み寄り学長の口許に掌をかざしそれから首筋へとその手を宛がい脈を探る]――…春、学長はもう……[脈は触れない。胸にタオルを宛がう彼にも既にそれはわかっているだろうけど彼がその行為を終わらせる切欠を作るために言葉を紡ぐ]