― 井戸 ―
[それから汚れの酷い服を手に、一階へ降り井戸へと向かう。
エルザはもう去って、ナターリエは選択を干していただろうか。]
おっと、シスター洗濯かい?お疲れサン。
…大丈夫?大分参ってるみたいだけど。
[顔色が悪く見えた彼女に声をかけた。言いながら、自身は血濡れた服を水桶につけて色を落とした。水はみるまに赤くなってゆく。
ナターリエはまた血に反応しただろうか。気分を悪くしたなら、案じるように声をかけ、吐き気が見えれば背中でも撫でるだろう。
もしそうでなくても、世間話をするように。]
こんな状況だしね。参るのはしかたないサ。
みんな苦しいよ?
大事な人が狼かもしれない、大事な人が誰かを殺すかもしれない、大事な人が――一人で何かを抱え込んで、苦しんでいるかもしれない。
そんな状況だしネ。
[言って労るように、彼女を見た。
表情におかしな所は見当たらないはずだが、相手がどう受けとるかはまた別で。]