うん、知らない。知らないんじゃなくて、忘れたのかな。全く知らない場所に来るなんて、おかしな話だろうし。[視線の位置を探すように、頭に手を翳す。頭上を見ても、天井までの間には何もない]オレ、寒くないよ。クーが寒いなら火をつけるといいよ。アーヴは灯りは点しはしても、そういうのには無頓着みたいだ。[顔を水平に戻し、目にかかる前髪を首を振って払う。眼のみが、掬うように男を見上げた]