―学長室―
俺、学長の、そういう話の分かるとこ、いいと思ってるよ。
[出された湯呑みを受け取って、見るからに熱そうな茶をずずとすすった。
これおいしいけど硬くない?と言おうとして、せんべいを口に運びながら学長の方を見るが、ばりりと豪快に噛み砕いている様子に「うわ」と小さく呻いた。
こぼした愚痴がどうやら気に障ったらしく、頭に浮かんだ血管にギクリとしてとっさに耳をふさぐ。
ふさいでいるにも関わらず、怒鳴り声にびりびりとしびれた気がする。]
声、大きいって。そんなにカッカしてたら、脳の血管、きれちゃうよ。
深海魚、って、ひどくない……?だいたい何でそれで、乾布摩擦なの。
褌一丁で、乾布摩擦する日本男児は、もう、この日本にはいないんだよ、たぶん。
[ソファの上で体育座りをして身を縮ませ、せんべいをがりがりと齧った]