― 広間 ―[薪の爆ぜる音で、なぜかカルメンの声が耳朶に甦った。「火が落ちたら冷えるでしょうし、そろそろ部屋に戻った方が良いわ。 …動けそう?」>>64今まで親しいつきあいもなく、同じ村に住んでいるだけの間柄だったけれども、こんな事態になってみれば、女性らしい細やかな気遣いに救われる思いだ。廊下を歩きながら悪夢>>1:123の話をしたとき、彼女はどういう反応だったろう?あのときはまだ熱と頭痛でぼんやりしていた。自分が何をどこまで話したのか、よく思い出せない。]*