─繁華街・スナック『桃』─[テレビの方を意識する史人の様子は気づいていても突っ込みはせず]普通じゃない世界に興味をお持ちなら、その内見かけるかもですねぇ。[くすり、笑う。特徴ある本名はそのまま筆名として使っているから。イニシャルから辿ろうと思えば辿れるはず。そんな感じでのんびりと時間を過ごしていたところに飛び込んでくるのは、ピアノの旋律──携帯の着信音]……ち。催促か。[音を聞けば誰かわかる、というのも嫌な話だが。漆黒の携帯をポケットから出して、届いたメールを確認する]