[廊下の足音が遠ざかっていく。ビルケはそれを聞きながら、敷物の上にふたたび伏せた。ここ数日、主が弱っていて心配だったけれども、今日はかなり回復したようだ。厨房の雑多な食べ物の匂いを嗅いでいると、いつもの日常が戻ったように感じられ、彼女を安心させた。そのうち、うとうとと微睡んでいただろうか。勝手口から全力で駆け>>55込んできたエーファに驚いて頭を上げると、「そか、ご飯食べてたのか」>>58と納得される。ビルケは小さく尾を振って肯定した。]