[暫くして、一人の青年が犬を連れて広間に現れた。>>97
という事は、彼が仕立て屋のユリアンなのだろう。
無言で会釈をして暖炉の前で仕度を始めるのに、やはり覚えていないかと内心で思う。
男が村を出たとき、ユリアンはまだ怪我をしていなかったし、その後一度だけ親に宛てた手紙に返事がくる事は無かったから、彼の事情を男は知らないままだ]
えっと……さっきエーファから聞いたけど、君がユリアンでいいのかな?
覚えてないかもしれないけど、雑貨屋の息子のオトフリートだよ。
[名を知っていることに驚かれないようにエーファの名を出してから一応の自己紹介をする。
もちろん忘れていたからといって気分を悪くする事は無いけれど。
大人しい犬とは対照的に落ち着かない様子の黒猫は、玄関で来客を迎えていたらしいエーファが広間に戻ってくる>>120とそちらに駆け寄っていく
それから少し遅れて、戻ってきたイヴァンが仕事道具を取りに顔をだし、すぐに仕事に向かうのを見送る>>116]