やァ、確かネル、だったか。[声音はきみょうに優しく響き、狐はくれないの少年を見る。それからカルロスの言葉に、ふたたび目を向けると、喉を鳴らして嗤った。]ずいぶんと反抗的だな。――あァ、きずがいたむ、か?[面の下、白いかんばせ。くれないの三日月の笑みが浮かぶのを、彼は常の様子から想像することが出来よう。音を立てて羽ばたくと、カルロスからの視線は外れる。]