─ 黒珊瑚亭 二階・五号室 ─
普通だろ、こん位。
[お人好しというユリアン>>209に返すのは、軽く肩を竦めて。
変わらぬ態度は元来の性格からだが、祖父から聞かされた話による所も大きいだろう。
親友の姿を視て、取り乱し罵りながら殺したことを、祖父は死ぬまで悔いていた。
「お前は俺と同じ過ちはするな」と、言い置かれた言葉は今も胸にあって。
それが出来ているかどうかは、自分では解らないけれど]
俺だって、もう充分だよ。
[毛並みを乱す手は、柔らかく擽るように。
首振り身じろぐ様に気付くと、軽くそこを撫でてから隣に座って]
そ。
祖父さんが若い頃、視るのに使った道具で。
俺が祖父さんと同じ目を持ってるってことで、いつか使うかもしれないって、渡された。