―東殿・回廊―
[声をかければ辛うじて、ベアトリーチェは振り返りはするものの、怯えているのか動こうとはせず。
軽く舌打ちして、幼竜のもとに走りこんで抱き上げる。
驚いて泣かんでくれとは思いながら。
そのまま身を翻せばぎりぎり、カケラっぽいものからは逃げられた…と思いたかったが。
カケラもどきは砂のような化け物に転じ、こちらへと向かってくる。
慌てて暫く走って走って。幾つか角を曲がった所で赤い影と、見知った月闇にに出くわす。]
あ、丁度いいとこに。悪い後ろの任せた!
[疲れて座り込んでいる竜には酷い一言を言って。
そのまま二人を通り過ぎ、角を曲がって一旦足を止める。]