─廃墟の一角─
[小猿を介しての会話の合間。クローディアから言葉が返るとそちらへと意識を向ける]
『取り決め』じゃから、のぅ…。
満足ばせんが、一応の納得はしとくかいの。
こん手のもんは、ワシらの与り知らん理ばあるけぇ。
[懐から自分が最初に手にしたカード──『ザ・ムーン』を取り出し、指で摘まんでぴらぴらと動かした]
ま、ワシが言うた推測ばおまはんが考えとるかどうかは別んどんでもええんじゃ。
考えとろうが考えとらんが、やることはおんなじじゃけぇ。
[静かに見据えて来る相手とは対照的に、男は未だ嗤う気配を漂わせる。後ろに伸びる男の影が僅かにゆらりと揺れた]