―誰かの私室―[必死に引き出しや棚を漁るシャーロットの目を盗んで、こっそりと大きい部屋の方に戻る。][息抜きをしようと、繻子張りの椅子にどっかりと座り込んだ。][ふと、傍の卓子を見れば、チェス盤の傍に並べられた駒が目に入る。][それは、対戦中に双方の差し手が相手から取った駒のようだ。]……。[無言で黒いポーンを摘み上げ、しげしげと見詰める。]