人狼物語 ─幻夢─

53 羽月幻夜


旅の商人 エーリッヒ

―10年ほど前―
[奴隷の解放があってから数年が経った頃。
ほとんどの者は解放とは名ばかり、事実上無職で路頭をさまよい、行き着く先は……。
自分は、商人の元にいたこともあり、そこで得ていた知識を生かし、商売人をはじめた。
知識のこともあるが、もとから商才もあったのだろう。
すぐに仕事は軌道にのって、いくらかの富を手に入れた。
そんな矢先、一人の男とであった。]

で、もう一回言ってみてくれ、俺が……なんだって?
「お前は人狼だ。信じろと言われても無理なことはわかっている。
別に今は信じなくても、ただ知っておいて損はない。」
俺が人狼だったら、なんで人を襲わないんだ?
俺は普通にこうして、今は人として生きてるぜ?
「しかるべき時と場所、条件がそろったときに場が構成される。
その条件は……」

[このときは冗談話か何かだと、そんな話信じていなかった。
後に、そのことを思い知らされるときが来るまでは。]

(642) 2010/01/16(Sat) 23:51:06

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