[道が拓け、ようやく村へと戻る事が出来た。
けれど、己が向かった先は自分の荷物が置いてあるはずの宿でも、家族の住む家でもなく。
兄と慕ってくれていた弟分の住んでいた家]
セロリちゃん?
[そう声をかけるも、家の中は蛻の殻。
生き物の気配一つしないその中、書置きが置いてあった。
「猫ちゃんはうちで預かってます 帰られたら連絡を下さい」
と書かれているそれに、そういえば掃除を頼んでいると言っていたなと思い出しながら控えた連絡先に向かい]
お久しぶり、セロリちゃん。
[以前の帰省の折、一度だけ会った自分を子猫は覚えてなどいないだろうけれど。
しゃがみこんで視線を合わせ、声をかける]