[不意に聞こえた声>>808。
どこまでマイペースなんだ、と思いながら。
けれど、置き去りにするいくつかの存在が心残りであるのもまた、事実で]
……それなら、ユエの事を。
俺がいなくなると、ひとりですからね……誰かに面倒見てもらえるように、頼んでもらえます?
[ずっと、共に暮らしてきた同居猫。
自分がいなくなった後の事は、ずっと気にかけていたから、そう返して]
それから、もう一つ。
俺の主治医に、今回の事を伝えてもらえますかね。
どこにいるかとか、そういう事は全部、天文台の書斎の引き出しの中の手帳にメモしてありますから。
[帰郷の理由を告げた時の、主治医の苦笑がふと蘇る。
この結末を、彼はどう受け取るか。
怒るか呆れるか、それとも、自分らしい、と言ってくれるのかはわからないけれど]