[──あの事件の後。
雪が融け、村の外とも道が繋がった頃、中央教会からの使者を名乗るものが聖堂を訪れた。
彼らは、冬の間の出来事の事を聞き。
『神に仇なす闇の眷属』の躯を焼き滅ぼすように、と言って来た、けれど]
……それは、了承いたしかねます。
この地を守られていたシスターは、如何なる者にも等しく慈愛を向け、手を差し伸べられていた方。
例え、闇の者であろうと、命失った今、平等なる眠りをお望みのはず。
[こう言い切り、その要求は拒絶した。
聖堂の管理のために、神父を派遣する、という話も断った]
……この地は、この村の皆で守ってゆきます。
中央の皆様のお手を煩わす心算はありません。
[教会の庇護は受けず、人の力で守り続けると。
そう、宣言した。
事の発端とも言うべきものが、中央教会の書状だったから──その干渉を受け入れるのだけは、できなかった]