[巡る視線が一点で止まる。知った気配が近付いてくる]…銀翼か。[銀翼の孤狼をこちらだけで呼ぶ人間は「もう居ない」はずだった。狼を直接に知っていた男の呼び方は他とずれていて。その男も、その後を継いでいた女も。そして「自分も」死んだのだから]律儀だな。わざわざ挨拶に出向いてくるとは。[宙駆ける姿を認めて唇の端を上げた]