─墓標前─[視線に気づいたのか、猫はなぁう、と鳴いて尾を振る。仕種はどこか、寂しげに]酷いって、なんで。[冗談めかした言葉に、瞬き一つ。翠は空から、昔馴染みへ]……怖くない……って言ったら、嘘になるかな。自分がなくなるっていうのは、やっぱり想像もつかないし、それに……。[言いかけた言葉はふと途切れ。翠は再び、空へと向かう]