─事件から数日後─
[騒動が収まった後、集会場からは解放され、残った者達はそれぞれの場所へと帰る。イレーネが人狼であることは皆口にはせず、少女もまた自分の家へと戻った。けれど、そこに待ち人は既に、居ない]
………片付けないと、ね。
[集会場から持ち帰ったのは、家から持って行った荷物に加え、一階の廊下の隅に転がっていたクリスナイフ。そしてユリアンを見舞った時に引き取った、主を失いし月を額に抱く猫だった。こっそりと持ち返ったクリスナイフは、手入れをして布に包み、丁度収まるよな箱に入れておいた。これは、もしもの時の、最後の手段]
───持って行くけど、使わないように頑張るよ。
[元の持ち主に語りかけるよに呟いて、箱に封をした。傍らで猫が作業をじっと見て、呟きの後に、なぁう、と鳴く。持ち主の代わりに応じるよな鳴き声だった]