―後日談(3)ビー―
[手のひらが少し痛んだような気がしたのは冬の日の事だったと思う。
あぁまたあの弟がやらかしたと、その時は思っていたけれど、少し前から妙に不安になったりはしていた。
手紙は数ヶ月、届かない。休学しますの手紙には、母は酷く怒っていたけれど、あの弟はそれをたしなめる私の面倒を考えてはいないのだ。迷惑極まりない]
今度はやめましたって?
[人をはらはらさせておいて、この弟はまたそんな逆鱗に触れることを言い出した。
案の上、怒った母は弟を締め出し、こうして私が弟から話を聞いているわけだ。
――ウソのような本当の話、双子だからわかるとか、そういうのはない。ただ少し、私は弟の感情が伝わってくるのを感じることができた。弟もたぶんそうだと思うけれど、ウィーは鈍いからきっと少ない。
弟と二人、いつも一緒にいた木陰に座る。あぁ、この子は何か変わってしまった、と、少しだけ思った。それは今までなかったような不思議な感覚で、痛んだ手と同じほうを、つかむ。手のひらには、私が痛みを覚えた場所とおなじところに、薄くなった傷痕があった]
「やっぱり、痛かった?」