そも、護ってもらうのアテにしてたら、生きてけねぇっつの!
[他者を当てにして生きていけない、というのは物心ついた頃から叩き込まれていた法則。生まれた場所は、それが当たり前だったから]
……って、ちょ! マジかって、それ!
[ふと横道にそれかけた思考は、風の音によって引き戻される。
こちらへ向かう風の一撃。
避けるか否か、逡巡する時間もなく、右の肩口に走る衝撃]
……ちっ!
[舌打ち一つ。蒼は自身の投げた刃を追う]
ズィル、ダブルミラージュ!
[上げた声は念となり、銀の刃は二つに分かれ。左右二方向からの挟撃を仕掛けるように、宙を舞う]